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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 5

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・5



心に刺さった恋のかけら。
ジワリ、ジワリと、体を支配する。
「カイン…」
「俺は…迷っているんだ」

かけらを集めて継ぎ合わせても、何かが足りない。
探しても見つからない。ならばそのままにしておこうと思っていたのに、ある日違うかけらが迷い込んできた。
初めは小さかった。同じ志を目指す女だとしか認識をしていなかった。
だけど、次第に努力する姿に自分を重ねていた。毎日辛いトレーニングにも耐え、鍛えられていく姿が愛しく、いじらしくなった。
「お前が、俺の心を支配しているんだ」
「……」
エミルは違うかけらだった。
「だから…」
大きな腕が伸び、エミルの左肩に触れる。
「カイン…」
短くなった髪を指で弄ぶ。夕日に反射して黄金色に輝き、さらさらと風に揺れていた。
「…もう少し触れていたい…」
「え…」
「ずっと、お前の髪に触れていたい」

ずっと恋愛とは無縁だと思っていた。
竜騎士としてこの身を鍛えていくのなら、偲ぶ恋もまた己の生き方なのだろうと。
だけど、じわりと広がるこの思いは隠せなかった。

指に広がる彼女の髪の感触が、カインの心を支配する。
「俺は…お前が大事だ…エミル」
「無理、しなくていいよ」
エミルはその言葉だけ欲しかった。たとえ、心の中に大事な人がいても、構わなかった。
それだけで十分だった。
「そんな事を言うな」
両腕でエミルを捕まえる。そして逞しい体で全身を包み込んだ。


その夜、カインはエミルに誘われて家に行った。
故郷から出てきた為に、現在は城下町で一人暮らしをしている。町外れにある小さな家に入ると、女性らしい家具が並んでいた。
「散らかっているけど、その辺に座って」
あんなに勇ましい女性なのに、なんて可愛らしい部屋なのだろうか。
カインは関心をしながら、テーブルについた。
「遅くなっちゃったね。ご飯、食べていって」
「…作れるのか?」
その言葉にエミルは両頬を脹らませた。
「当たり前よ。私の故郷の料理をご馳走するわ」
エミルは腕をまくり、台所へと消えていった。


「…美味かったよ。満腹だ」
「どういたしまして」
テーブルに所狭しに料理が並び、カインは満足気に平らげた。
窓から涼しい夜風が流れ込んでくる。すると壁にかけられたロウソクが揺れ、黒く縁取った二人の影も揺らいでいた。
「お前って意外に家庭的なんだな」
「当たり前。家は兄弟が多いんだから、いつも手伝いばかりしていたんだ」
「剣の術は誰に教わったんだ?」
壁際の長椅子に寄りかかり、カインは寛ぎながら食後の飲み物に口をつけた。
「父が元バロンの剣士だった。だから幼い頃から兄達と一緒に教わったんだけどね」
後片付けを終え、エミルは感心しているカインの横に座った。
「私の故郷では子供の頃から剣の技術を競い合うの。昔は誰にも負けなかったのに」
天井を見上げて、遠くを見つめる。
両手で持ったカップから湯気が立ち込め、じんわりと身体が温まっていく。
「…ダメね。やっぱり狭い世界しか見ていなかった。私の思い上がりね…」
「そんな事はない。お前には無限の才能が眠っていると思う」
「そうかな…」
お互いに顔を合わせる。ロウソクの光が淡く二人の表情を照らし、それが艶めかしくも感じた。
「ね…カイン」
ふと、カインはエミルの瞳の中に強い光を見つけた。
「私も戦いたい」
「……」
「私はバロンの為に体を鍛えたの。陛下や故郷の為に戦いたい」
「……」
カインは黙ったままだった。
「私はカインと共に剣士になりたい」
「…エミル」
だが僅かに唇が開いた瞬間、エミルは唇を塞がれた。
「…ん…ふ…っ」
力強い腕で抱きしめられる。
逃れようとエミルは身を捩じらせるが、それさえも許されなかった。
「あ…つい……カイ…ン」
強引な口付けに息もできない。
エミルは肩を激しく上下させ、次第に顔が真っ赤に染まっていった。

「お前が傷つけられるのを、見たくはない」
「私は、負けない」
唇を外し、熱い息を吐きながら見つめ合う。空の色のように澄んだ青い瞳がエミルを見ている。
「お前を守りたい」
「…私がカインを守ってあげる」
エミルが瞼を伏せると、今度は静かに唇を重ねてきた。
味わうように、慈しむように。
カインの大きな腕が、ゆっくりと背中へと回される。
逃げられるのを恐れているのか、微かに震えているのが肌を通して伝わってくる。
「大丈夫…私はここにいるよ」
エミルはカインの頬に口付けて、微笑んだ。

時間はゆっくりと流れ、ロウソクの明かりは何時までも瞬いていた。

 

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