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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 7

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・7



異国の大空に旅立つ大切な人。
心を分かち合える友と一緒に。でも私は見守る事しかできない。
待つ事しかできなかった。


カイン達が旅立ち、数日が経過した。相変わらずエミルは忙しなく働く日々が続く。
しかし平穏と思われていたバロンに、ゆっくりと暗雲が立ち込めようとしていた。
近衛兵隊長のベイガンが、カイポの町にいるセシルの抹殺を命じられた。
「そんな…セシルが?」
城の長い廊下で呼び止められたエミルは、ベイガンに伝えられた事実を聞き、一驚な表情をした。
「ああ、裏切り者だ。バロンに背いた者は抹殺せよとの陛下の命だ。今夜討伐隊を結成して、向かう事になった」
「……っ」
悔しくて唇を噛み締める。
「それに貴重なミストの少女もセシルと共にいるとの報告だ」
「ミストの少女…。隊長、カインは…」
突然、王城の奥の部屋がガタンと大きな音を立てた。慌ててエミルは側に駆け寄り、重く大きな扉に手を掛けた。
「誰だ!」
そして勢いよく扉を開けると同時に、部屋から一人の女性が飛び出した。
「待て!」
振り向きもせずに、廊下を走り去る姿にエミルは目を疑う。
「……あれは」 
白魔道士の象徴である白いローブが目に付いた。
長く緩やかな金髪が頭の上で一つにまとめられ、大きく揺れている。
「まさか、今の話を聞いていたのか」
あれは数年前、ずっと忘れる事ができなかった姿。
「…ローザ…」
ベイガンとの会話を聞いていたのだろう。もしかしてセシルの後を追っていったのかもしれない。
ザワザワと胸騒ぎがして、思わず胸を押さえる。
「ベイガン隊長」
同じく様子を見ていたベイガンは、何人かの部下に捜査命令をしていたが、エミルの問いかけに振り返った。
「何だ?エミル」
「私も討伐隊に加えてもらえないでしょうか?」
「いや、お前は城に残れ」
「何故…」
エミルは尚もベイガンに詰め寄る。
胸騒ぎが止まらなかった。 
「お前はセシルと同じ士官学校のクラスだったな、情けをかけるとの陛下が判断した。それに…」
「陛下が…」
「裏切り者のカインの抹殺も命じられているからな」
「……!」
王の命令は絶対だった。


運命が回りだす―――


その日は朝から激しく雨が降り続いていた。
セシルはその後行方不明となり、討伐に赴いた近衛兵もセシルとの死闘の末、殆どが殉職との報告を受けた。バロンの兵も勢いがついた他国との闘いに備え、出兵を余儀なくさせられる事態となった。最早国に残る近衛兵はエミルを初め数名まで減り、情勢は更に厳しくなる。
「陛下は何を考えておられるのだろう…」
エミルは城の窓際に寄り、雨でぼやけた外を眺めた。眼下では海兵隊長が今夜出兵する者達の点呼を行っている。
「あんなに若い者まで…」
歳幾ばくもない少年兵まで駆りだされるまでに、この国は落ちぶれていっているだろうか。
「陛下は焦っておられるのじゃよ」
背後からゆっくりと白髪混じりの髭を蓄えた初老の技工士が現れた。
「シド…」
「陛下はクリスタルが奪われた国が力を蓄え、襲ってくることを恐れているようじゃ」
「クリスタル…か」
「全く、陛下は何を考えておられるのだろうなぁ」
最近、陛下と大臣が全世界に散らばるクリスタルを収集していると、カインが言っていた。
目的は定かではないが、その為に赤い翼や竜騎士団等の兵士達が他国に投入されているという。


「ベイガン隊長が帰還されたぞ」
セシル討伐に失敗し全滅と聞いていたが、隊長が戻ってきたとの報告に俄かに城が沸き立った。だが姿を変えて現れたベイガンに誰もが声を失う。
最早人間とは呼べない体となり、それは醜い魔物の姿と変化していた。
「誰が…そんな姿に」
その姿に恐怖し、叫び慌てる王家の婦人達を宥めながら、エミルは心の中で大切な人を思った。
「無事に帰ってきて…」
カインはミストの村で生死不明となっていた。


そんな中、疲弊したバロン国に突如一人の男が現れ、分裂状態の飛空艇団の隊長に就任することになる。
暗黒の甲冑に全身を覆った男は、ゴルベーザと名乗った。
「今度からこのゴルベーザが暗黒騎士兼、飛空艇団の長となる。心して迎えよ」
王自らの紹介で城内は歓喜に包まれた。だが、その姿を見た時、エミルの五感がぞくりとする感覚に陥った。
同じ気をあの魔物と化したベイガンからも感じる。
「…まさか……」 
バロンは、この国は一体どうなるのか。
もう運命は止められないのだろうか。
エミルは絶望感に苛まれた。


久々の休息をとる為に家路に着く。
重い体を引きずるようにして懐かしい道を辿りると、家の中に淡い明かりが灯っているのが見えた。
「…誰?」
侵入者に対抗する為に、腰に携えた短剣に手をかけ、慎重に扉を開けると、目の前に懐かしい姿が現れた。
「…え……」
エミルは驚き、声を失う。
その男は静かにソファに座っていた。
「カイン…っ!」
思わない出来事に涙が溢れ、あとは声にならなかった。



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