FC2ブログ

「◆FFX ティーダ×ユウナ」
10のお題小説(長編・R-18)

FFX 10title ~セックスアピール~ (もしも・10)

 ←FF4 恋のかけら 8 →FF4 恋のかけら 9
10title ~セックスアピール~ (もしも・10)


ビサイドの夕暮れは俺達を優しく包んでいた。

懐かしい海の匂いがする長い道を二人で歩く。
記憶の中にある海の匂いはどこも同じで、もちろんザナルカンドとこのビサイドも同じだった。
ふと足を止めて後ろを振り返る。
「どうしたの?」
ユウナが不思議そうに俺の顔を見る。
「ん?ああ。何でもないッスよ」
俺は少し笑ってまた前を向く。
心の中でザナルカンドで遊んだ仲間達の顔が…次々浮かんでは消えていった。
―――忘れないッスよ、ずっと。
手を胸に当て、そっと心の奥底に思い出をしまった。

俺はユウナに導かれ、ビサイドにあるユウナの家に行くことになった。
村に近づくと人も増えて賑やかになってくる。
あんなに閑散としていた村も、日が暮れるというのに活気があって驚いた。
初めてユウナと会ったあの建物も健在で、礼拝する人が行き来しているのが見える。
「ここも、相変わらずッスね」
ふと視線を感じて横を向くと、道行く人は俺を不思議そうな目で見ていた。
「最近新しい人が増えたんだ」
「へぇ…」
俺が初めてここに来た時も皆不思議そうな目で見ていた。服装からなのか、俺の態度なのか、今考えると色々思い当たる事はあったが、当時はめちゃくちゃ焦った。
「そういや、人増えたなぁ」
腕を頭に組んで周囲を見渡す。横を通っていたバアちゃんが俺の仕草にビックリして遠のいた。
「ん?」
後ろを振り返ると、おどおどした態度で俺を見ている人達が数多くいる。
「ごめんね」
「なんで?」
「皆びっくりしているよね」
もう慣れっこだったし、今更気にしてはいなかったけど、ユウナは申し訳なさそうに下を向いた。
「いや、全然いいッスよ。でも、なんでまた?」
「うん…私がここで皆の悩みとかの相談を聞いているんだ。ワッカさんの勧めもあったんだけど…長老の皆がどうしても、って」
永遠のナギ節を作った大召喚士ユウナを崇め、ここにやってくる人が多いのだろう。そのまま移住してしまう人もいるかもしれない。そう考えると、ユウナはあの闘いも、その後も、大変な運命なんだって思い知らされる。
ザナルカンドで俺と過ごしたあの日々は、ユウナにとって幸せなひと時だったのかもしれない。
「今度皆に紹介、しないとね…」
「え?いいッスよ、俺は元から何も…」
「だって…キミは伝説のガードって言われてもおかしくないのに…っ」
俺の言葉を諦めと勘違いしたのか、慌てて繕うユウナの態度が可笑しくて、つい吹き出してしまった。
「別にいいッス。俺はルカの大会で天下のルカ・ゴワーズに喧嘩売った伝説のブリッツ選手っつー事で」
「でも…」
ユウナが何かを言いかけた瞬間、背中を誰かに叩かれ、慌てて振り返る。
「よお!」
暮れ行く陽を背に、懐かしい人物が立っていた。眩しさに思わず目を細める。
「ワッカ!」
「どうしたんだ?!お前てっきり…」
「どうもこうもないッスよ!」
ワッカはいきなり俺の頭を脇に掴み、拳で頭をグリグリと押し付けた。
「い、いててて!ワッカやめろよっ」
「お前戻って来たんだなぁ~!!てっきりどこかに行っちまったとばっかりに…」
乱暴な挨拶だったが、喜んでくれているのが声で判る。
「あはは、心配かけて悪かったッス」
「バッカ野郎!心配しなんかしてねーよ!!」
ぐしゃぐしゃに俺の髪を掻き回した。
ユウナはそんな俺達を微笑みながら見ている。
思えばエボン=ジュとの闘いの後、突如消えた俺達をずっと探していたのかもしれない。ワッカには感謝してもしきれないんだ。
「サーンキュ、ワッカ」
「な、なんだよ、突然?」
「なんでもないッス」
俺の言葉に照れたのか、笑いながら無言でぐしゃぐしゃになった俺の髪を撫で始めた。
「…そういや、オヤジさんは会ったのか?一緒にアーロンさんもいたんじゃないのか?」
ワッカは何か思い出すかのように手を離すと、俺の方に向き直り真面目な顔で言った。
「あー…ああ、そうッスね」
「ワッカさん」
ユウナが遮るように言葉を挟んだ。
「ティーダね、今さっき着いたばっかりなんだ…早く休ませないと…」
語尾が小さくなって消えそうだった。喜びで興奮しているワッカに対して申し訳ないという気持ちが伝わる。
「ああ、そうだったな。悪ぃな、引き止めて」
そのユウナの様子を珍しく察したのか、ワッカは頭を掻いて謝った。
「今日はユウナん家に泊まるんだろ?早く休んで後日また会おうや」
「サンキュ!ワッカ」
お互いにブリッツの挨拶を交わす。ワッカのいつもと変わらない態度が嬉しくなった。
そして別れ際に背中から掛け声が聞こえてきた。
「ティーダ!」
「ん?」
振り返ると、ワッカが仁王立ちをしてこっちを見ている。
「またビサイドオーラカに入るよな!」
「ああ!」
俺は軽く手を挙げて答える。
「待ってんぞ!」
その答えに、ワッカは満面の笑みで手を振り返した。

「俺…良かったのかな?」
ユウナが住む家の前で不意に思う事があって立ち止まった。
「え?」
「ココに帰って来て良かったのかな」
陽が徐々に落ち、ユウナの白い肌も闇に染まり陰影が濃くなる。
「どうしてそんな事聞くのかな?」
聞いて見たかったんだ。
「今まで夢中で走ってきたけどさ、こうやって待っててくれる人がいるんだよな」
「うん」
ユウナは俺の言葉に相槌をうつ。
「ホントは不安だったんだ…もしかしてスピラに俺、必要ないから消えたのかな…ってさ」
「そんなこと、ないよ!」
首を左右に振って否定をする。
「ティーダは、必要だよ」
ユウナは俺の胸に手をあてて、尚も首を振り悲しそうな目を向ける。
その瞳が堪らず、小さな手を握り返した。
「もしかして、俺ユウナのお荷物になるかもしれない。悔しいけど、スピラでは何も判らない。あん時…アーロンに連れられて初めてスピラに来た時、リュック達に助けられなかったら死んでいたかもしんない。それだけ何も判らない男なんだ。情けないけどな…」
ユウナはじっと俺の瞳を見つめながら一言一言に頷いてくれている。時には横に首を振ったり、俯いたり、俺に返す言葉を探してくれているのが嬉しかった。
「…そんな事、ない。キミがずっといなかったら私は…」
言いかけた言葉を止めた。
「……ごめん、ユウナ」
そうだ…ユウナも俺がいなくなって、辛かったんだよな。
「考える事、沢山あるよね。これからどうしようかとか、何をしようとか…私もそうだったんだ」
「うん」
ユウナはゆっくりと俺の前を歩き、落ちていく夕陽を眺めながらポツリと呟いた。
「『シン』を倒して永遠のナギ説がきたら、目標がなくなっちゃった。だからずっとずっと考えてたんだ…もしかして私はスピラに必要じゃなくなっちゃったのかなって」
俺の前を歩き、遠くを見ているユウナの表情は判らなかった。
「だけど、今はやる事沢山あるんだ。キミに会えて、キミと一緒にやりたい事沢山あるんだよ」
「…うん」
やりたい事、そうユウナに言われて気が付いた。俺もユウナとやりたい事が沢山あるんだ。
「今は不安な気持ちとか、悲しい気持ちの方が大きいと思うんだ。だけど、私はキミが戻ってきてくれて嬉しい。キミと毎日楽しく暮したい。毎日やりたい事探していきたい」
ユウナと同じ気持ちだって事、凄く嬉しかった。
「うん…最後までお願いします」
肩を竦め、聖なる泉で言ったユウナの言葉を今度は俺が繰り返す。
その言葉にニコリとユウナは笑いながら、あの時の俺の言葉を繰り返した。
「最後じゃなくて……ずっと」

俺は沢山の人に支えられて生きている。
オヤジやアーロン…今はいないけど、きっとどこかで俺を支えてくれている。
それが判るから俺はこれからも先に進める。どこまでも走っていける。
強くなる、というのは人の繋がりや優しさを感じられる事なんだな、って思う。

横で並んで歩くユウナの手を取り繋ぐ。
「俺ってユウナにとってどんな男なんだろう?」
顔を上げ、突然の言葉に戸惑いを見せている。
「言って、ユウナ。俺はユウナにとってどんな男?ユウナは俺の事どう思ってる?」
少し強引とも言える言葉をユウナに投げかける。照れ屋なのは百も承知。
だから聞きたかったんだ。
本当のユウナの心を知りたかったんだ。

暫くして彼女は小さく身動ぎ、目を伏せる。それは何かを決心しているかのように感じる。
そして、唇が微かに動いた。

「すき…だいすき……ずっと私の側にいて…」
「愛してる。ユウナ」

闇夜に覆われ、一筋の月光が射し込む。俺達の姿は淡く照らされている。
その中で立ち止まり、いつまでも二人唇を重ね合っていた。




FC2 Blog Ranking


二次小説ランキングへ

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト





総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 セシル×ローザ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン×ローザ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン夢小説
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 ジ・アフター
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 前世代の物語
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 セシルの物語
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FFX アーロン×ティーダ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DDFF カイン×ライトニング
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DDFF クラウド×ティファ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DFF ティーダ×ユウナ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DDFF ティーダ×セシル
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆風光る・沖田総司×セイ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 セシル×ローザ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン×ローザ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン夢小説
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 ジ・アフター
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 前世代の物語
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 セシルの物語
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX アーロン×ティーダ
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX コミック
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF カイン×ライトニング
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF クラウド×ティファ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DFF ティーダ×ユウナ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF ティーダ×セシル
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF6 短編小説
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF7 短編小説
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF9 短編小説
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆風光る・沖田総司×セイ
もくじ  3kaku_s_L.png ◆過去記事
  • 【FF4 恋のかけら 8】へ
  • 【FF4 恋のかけら 9】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【FF4 恋のかけら 8】へ
  • 【FF4 恋のかけら 9】へ