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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 9

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・9



数日前、ミストの村がセシル手によって全滅したと、偵察をした兵士から報告があった。
だけど、エミルは信じてはいなかった。
あの心優しいセシルが私達を裏切る筈はない。しかも、カインも共に旅立っている。
決して、過ちは犯さない。

けれど再び姿を現した男は、私の知る男ではなかった。

夜が明け、空が白み始めた。
あれから貪りつくように何度も求められ、気絶するように眠ってしまった。それは、欲求を満たすだけの行為しか感じられなかった。
気だるく体を起こすと、窓から朝の光が差し込み、眩しくて目を伏せた。
旅立つ前は決して無理はしなかったのに、彼は変わってしまった。

隣にはもうカインの姿はなく、手で触れるとシーツが冷たくなっている。
「……うっ…」
胸の中で迫り来る哀咽を押さえながら、ベッドから立ち上がる。そして軽く朝食を済ませると、近衛兵の制服に着替え、腰に愛剣を携えて城へと向かった。
「もう…冬が始まるのか…」
枯れた木の葉がはらはらと舞い落ち、吐く息が白く曇った。
以前カインと一緒に剣のトレーニングに出かけた時も、こんな寒い日だった。

それは数年前―――
「エミル」
その日は珍しく剣の他に愛用の槍も携えて、白い息を吐きながら彼はやってきた。
「今日は槍も使うのか?」
「ああ、お前に槍の魅力を見せてやろうと思ってな」
「私は槍なんて使わない」
「いいから見てろよ。これが竜騎士の技だ」
カインは笑いながら言うと、槍を左手に構え、腰を低くする。
目の前には、はらはらと木の葉が舞い落ち、枝から雨のように降り注いでいる。
「はっ!」
右手を地面に付き、更に腰を屈め勢いよく足で蹴ると、一瞬にしてその姿が空中へと飛び立つ。
「わ…っ」
強い風がエミルの髪を靡かせ、急いで空へと目線を移すと、遥か遠くにカインの姿が見えた。
その姿は羽ばたき、空を自由に駆ける鳥のようだった。
「…すごい」
太陽の光が眩しくて目を細める。いつか飛び立って、私の前からいなくなってしまうんじゃないかと、その時は不安さえ感じた。
暫く空中を舞った後、カインは地面に向かって勢いよく槍を突き刺した。その矛先には無数の枯葉が貫かれている。
「風みたい」
「そうか?まだまだ親父には敵わないけどな。でもいつか竜騎士として、この地に名を残したいんだ」
「名を?」
矛先の葉を取り除いて再び槍を構える姿にエミル
の視線が釘付けになった。
「俺の目標は親父を越える事だな。あの時代は竜に跨がり活躍していたが、生憎今の竜騎士に竜を操る術はない。なら槍術でバロン一、いや世界一になってやろうと思うんだ」
カインらしいね、とエミルが微笑むとカインは槍を持つ手を下げエミルに近づく。
「…お前に俺の戦いを見ていて欲しい」
そっとエミルの頬に手をあてると、そこだけがほんのり赤く染まる。
「それなら…私は剣術で強くなってカインを守る」
「……」
カインの手の上に自分の手を重ね、そっと指に口付けた。
「カインなら、世界一になれるよ」


北風がエミルの体に纏わり付く。振り返ると、あの頃のカインが立っているようだった。
だけど、貴方に切られた髪もこんなに伸びてしまった。
エミルは心の中で呟くと、肩下まで伸びた髪を指で触れた。

城に着くと、俄かに城内が騒々しい。
側を通りかかった一人の兵士に声をかけると、立ち止まった。
「何かあったのか?」
「ええ、これからダムシアン城に出撃が決まって、皆慌てているんですよ」
「え?どういう事だ?!」
エミルは驚いて、声を荒げた。
「ゴルベーザ様の決定だそうです。何でもクリスタルが城の内部にあるとか」
周囲を見渡すと、赤い翼の団員の姿も見える。
「赤い翼が…クリスタルを」
「ええ、奪還命令が下ってます」
何故王はそれほどまでにクリスタルに執着するのだろうか。噂では世界の均衡を揺るがす程の威力を持っているとの事だったが、エミル程の階級では情報が伝えられなかった。
「また…犠牲がでてしまう」
「そうですね」
だが、エミル達にはどうする事もできなかった。

ゴルベーザの暗黒騎士団就任によって、またバロン国は活気を取り戻した。
世界一の鉄壁と謳われ、自国への攻撃は皆無な為、他国からの力自慢の兵士希望者が数多く集まってきた。荒々しい傭兵も腕慣らしとバロンに集結をしてくる。
城下町では国を失った避難民で混乱をしていた。
「このままじゃ、治安が悪くなる一方だな」
見回りをしていたエミルは、街の様子に落胆した。
混雑をした市場を抜け、外れの家の路地に入る。すると、背後から男の野太い声がした。
「おい、ねえちゃん」
振り返ると、三人の傭兵の鎧を着た男達が立っていた。
「…何か、用か」
エミルは怪訝な顔をした。
「おお、勇ましいね。 この服装はバロンの近衛兵だろ」
「……」
無言になり周囲を確認する。しかしこの先は袋小路になっていて、行き止まりだった。
「女が城の兵士とは珍しいな。さぞかし王のご寵愛を受けているんじゃないのか?」
ニヤリと男の一人が嫌らしい笑みを浮かべ、エミルはその言葉にカッと熱くなった。
「…陛下を愚弄するな!」
「お前その様子じゃ、バロンの王が何をしているか、知らないようだな」
「黙れ!」
左側に立つ痩せ型の男が低い笑い声をあげた。
「良いか、教えてやる。バロン国はな、今じゃ魔物を操って世界を征服しているんだ。俺の故郷も魔物達にやられて皆殺しだ」
「なっ…」
エミルはその言葉に驚き、目を見開いた。
「ダムシアン城の王家も一人残らず皆殺しにされた。今じゃ廃墟だ」

セシルやカインが目指し、エミルの誇りだったバロン国は、既になくなっていた。




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