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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 13

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・13




薄い雲の合間に時折細い光が地面を射している。
エミルはカインに誘われ、ファブール城の近くまで来ていた。
「あれが…ファブール城」
強豪のモンク僧が集結し、格闘技が盛んな宗教国家。王は数々の功績を収めたファブール寺院大僧正で、現役の頃は無敵の武道家と謳われていた。
「王の間の奥に設置されたクリスタルルームに目的のクリスタルが眠っている」
「クリスタル…」
エミルは丘を降り城の入り口まで進むと、カインに向かって振り返った。
「カインはクリスタルの意味を判っているのか」
その瞬間風が強く吹き、エミルの白い旅人の服の裾を靡かせた。後ろに立つカインは空を見上げ、風の行方をみている。
「俺は陛下とゴルベーザの命に従っているだけだ。一兵士が詳しく知る由はない」
「そう…」
カインの背に掲げたスピアが太陽に反射して眩しかった。この槍を使ってこの城を守るモンク僧達と戦うのか、そしてクリスタルを守るセシル達とも戦う事になると思うと、エミルは胸が痛かった。
「もうすぐゴルベーザ率いる『赤い翼』がやってくるだろう」
嘗てはセシルが隊長だったバロン屈指の飛空艇団『赤い翼』は、今や謎の黒い甲冑の騎士ゴルベーザの管轄となっていた。
どうしてバロンは変わってしまったのだろうか。セシルが謀反を起こした時から、それとも各国のクリスタルを奪い始めた時からか、いや、もしかしたらそれ以前から、変わり始めていたのだろうか。
エミルの所属していた近衛兵も、ひょっとしたら見えない何かに操られていたのかもしれない。
「…どうした?」
立ち止まったエミルに、カインが声をかけた。 
「ここは街が城の中にあるんだ」
「そうだな、国家としては珍しい配置だ。王が国民を大事にしている証拠だな」
奥へと進むと、大きな渡り橋があり、前方には幾つもの寺院が見えた。入り口脇には豪傑な体型をした見張りのモンク僧が並んで立っている。
「中に入ればいいのか?」
「ああ、お前の格好なら街人で入れるだろう」
カインに言われるがまま橋の中程進むと、案の定モンク僧の一人に声を掛けられた。
「貴殿、何用でここに来たのか?」 
「あ、私達はこの街に…」
カインに助言を求めようと振り返るが、既にそこには姿がなかった。
「カイン?」
すると城の奥から大きな爆音が響いた。
「何奴!?」
「侵入者か!!」
見張りの僧が慌てて、爆発をした方向に目を向ける。その隙にエミルは中へと全速力で走り出した。
「あ!!待て!!」
慌てて見張りが追いかけてくるが、エミルの鍛えられた足では最早追いつけなかった。


街を抜け、王の間と思われる階上へと階段を駆け登ると、石畳の窓からバロンの飛空艇が集団で攻撃を仕掛けているのが見えた。
「赤い翼…」
赤いエンブレムが飛空艇の船尾に輝いている。
「始まったのか」
船上から縄が幾筋に渡って地上に降ろされ、伝って降りてきたバロン兵が城の内部へと侵入している様子が見える。
人々は混乱し、逃げ惑う。腕に覚えがある者は闘いを挑んでいるが、屈強のバロン兵には歯が立たないようだった。
「カインは何処にいるんだろう」
エミルは急いで階段を駆け上がる。すると、一際大きな細工の施された扉の奥から争う声が聞こえてきた。
「切がない! 止むを得ん! クリスタルルームまで下がろう!」
「ギルバート!」
聞き覚えのある声に、はっと我に返った。セシルが扉の向こうにいるのが判る。
重く閉ざされた扉を押すと、目の前にセシルやローザ達、数人の姿が現れた。
「セシル…」
「エミル、どうしてここに?!」
部屋の中にいた暗黒騎士の鎧に身を包んだセシルが驚いてエミルを見る。しかしゆっくりとエミルの横に現れた一人の男に視線をずらすと表情が変わった。
「久しぶりだな…」
「カイン!!」
エミルは再び姿を現したカインに驚く、だがカインはセシルに向かってニヤリと笑みを見せているだけだった。
「カイン! 無事だったのか!」
「ああ」
「一緒に戦ってくれ!」
セシルやローザは久しぶりに見るカインに喜んでいる。だがカインは一瞥し、いきなり背に携えた槍を左手で抜刀すると握り締め、セシル目掛けて突き刺す。
「無論そのつもりだ。 だがセシル、戦うのはお前とだ!」
「カイン?!」 
セシルは素早くカインの攻撃を避け、地面に膝を付きながら叫ぶようにカインに問う、だがそれさえも聞こえていないようだ。
「一騎打ちだ、セシル!」
「何故だっ! カイン!」
「問答無用!」 
セシルはカインの攻撃をかわしながら、暗黒剣を握り締めた。
「いったい何があったんだ!?」
「うるさい、黙れっ!」
その様子にエミルやローザ達は固唾を飲んで見ているしかなかった。最早二人の戦いの間に入れない、そんな雰囲気さえ漂う。
エミルは腰に携えた剣の柄をそっと握った。
俺の戦いを見せてやるとカインは言っていた。親友であるセシルとの戦いは、彼が本当に望んでいたのだろうか。
チラリと横目でローザを見ると、顔を真っ青にして、微かに震えている。
セシルが暗黒剣に力を込め、ダークフォースをカインに打ち付けるが、寸での所で体を逸らす。
すかさずカインは槍をセシルの胸に突き刺すが、鎧をかするだけだった。
巻き上がった風圧がエミルの体に吹き付ける。
「カイン!セシル!」
エミルの声は、二人が打ち合った剣の金属音によって掻き消されてしまった。
しかし、次の攻撃で勝負が決まる。
セシルが攻撃を避けた瞬間、僅かに隙ができた。カインはセシルの足元に槍を刺し、体を転ばせた瞬間に喉元に突きつけた。
「セシル!止めだっ」
「まさか、お前もゴルベーザに!」 
その言葉にエミルの体がビクリと震えた。セシルはゴルベーザを知っている。そしてバロンに謀反を起こした本当の理由は…
「カイン!駄目だ!!」
「来るな!!」 
溜まらずにエミルはカインに駆け寄るが、制止された。
「カイン、あなたまで!」
ローザはセシルに駆け寄り、カインに向かって叫んだ。するとカインはその場に膝を付き、蹲った。
「う…ううっ!俺を…見るな!」 
エミルはその様子に黙り込んだ。



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