FC2ブログ

「◆FF4 前世代の物語」
KEEP THE FAITH(中編)

FF4 KEEP THE FAITH 2

 ←FFX ガード →FFX Next Generation 26
「…今、何て言った?」
「だ・か・ら、『運命の人』だよ」

バロン城内にある、竜騎士団隊長の控え室から声が聞こえた。


Final fantasy IV another story KEEP THE FAITH
story・2 Feare



「お前…本気か?そんな簡単に運命の人に逢えるか?」
「お前だって、人の事言えないだろ?」
「俺は直感だ」
「同じだろ?」
早朝、登城した二人は竜騎士の証である濃紺の鎧を装備していた。
重い脚防具をはめ、次に胸当てを着けていく。無数の留め金をはめると、カチャリと金属音が辺りに響いた。

「それに、時間なんて関係ねぇよ、出会った時こそが運命の始まりなんだからよ」
理屈ともつかない返事に、ネイトは小さく溜息をついた。
「まぁ…それでお前がいいなら、俺は何も言わんが…しかし、一度逢ったきりで、これからはどうするつもりなんだ。実際、その子の素性も知らんだろ?」
先に装備し終えたネイトは、背丈以上もあるスピアを握り、背に備え付けている柄に差す。
「まずは…その子を見つけて、話す!」
「それから?」
「交際を申し込む!」
「それで?」
「……考えてない」

ネイトはバタンと勢いよく着替えが入っている木箱を閉めた。

「そうだな、順序はあっているが、まずは第一段階を踏むとこから始めるんだな」
「第一段階?とは?」
「女の心は花のように移ろい易く…」

やがてリンクスも着替えを済ませ、部屋を出ようとしていたネイトの横に並ぶ。
「なんだよネイト、詩人になっちまったのか?」
「いや、もし、運良く逢えたとしても、その子に恋人がいたらどうするんだ?って忠告だな。」
ネイトの言葉に少しムッとする。

「…きっついお言葉…」

それから城内の長い廊下を歩く。
バロンの城はとても広く、まるで迷路のようだったが、慣れた足取りで二人は進む。
途中窓から見える城壁は高く、隙間見える空は狭かった。
「今日の任務も魔物討伐か。最近本当に増えてきたな…」
「いずれ、俺達だけでは足りなくなるかもしれんな」
ネイトは近衛兵から受け取った報告書を歩きながら、読んでいる。
内容は魔物が現れた地区や被害報告ばかりだった。
「近々町人から新しく兵隊を募集するようだ…まぁ、俺達には縁のない話だろうが」
竜が増えない限り、これ以上の増員は望めない。

3つめの角を曲がり、暫く進むと、真新しい扉が突き当たった。それは紺を基調とした頑丈な作りで、周囲は金で縁取られている。
「しかし、派手な扉だな…俺は新しい部屋を作るのは反対だったんだ」
「今更愚痴をこぼしても遅いぞ、リンクス」
新しい扉の前に立ち、気が乗らない顔つきで開けた。
その扉の向こうには、新しく出来た竜騎士団隊長の部屋がある。
「俺はいつものように皆と同じ部屋で良かったのに」
「…最近バロンに入ってきた側近が提案したらしい。隊長ともあろう者が、一般兵と同じ部屋を使うのは威厳示せないとかだとか…うんぬん…」
ネイトは不平不満を漏らすリンクスに答えた。
「側近?そういえば…」
数日前、ある会議でそんな話があったかな…と記憶を辿ってみる。
顔はまだ見ていないが、その後若い男らしいと情報を聞いた気がする。
「お前、隊長のくせに詳しく知らんのか?…ったく、ロクに会議にでないからこうなるんだ。
どこの者か素性が判らないらしいが、かなりの評判らしいぞ」
「素性が判らない?」
「陛下のみぞ知るらしい。それに今のぬるい王政を変えると断言していたらしいが…これもその表れだろうな」
リンクスは初耳な言葉にただ驚いていた。
「…ぬるい王政?」
「俺達の事だろう。いつまでも女の尻追いかけまわしている場合じゃないって事だ」
「へいへい…」
呆れた返事を返しながら奥へと進む。
まだ出来たての部屋は、新しい壁の匂いがする。脇には整理をされていない書物が床狭しに並べられていた。
「早く整理しろ。人を呼べないだろ?」
ネイトは置いてある書物を一冊手に持つと、埃を払った。
「ああ。いつかね…」
リンクスは全く乗る気はなく、新しい椅子に腰掛けると、そのまま足をあげて机に投げだす。すると重い足具に耐え切れず、木の擦れた鈍い音が鳴り響いた。
「新調したばかりなんだ、壊すなよ」
「…ネイト、お前だって人の事言えんだろう?」
「毎夜寮を抜け出している事か?俺は、私情は仕事には持ちこまない主義だ。
勤務時間には会わないことにしている」
「当たり前だろ…」
リンクスは手を仰いだ。
するとドアの外から叩く音がした。
「ああ、どうぞ」
暫くすると扉がゆっくりと開き、見慣れない若い男が入ってきた。
制服は陸軍歩兵隊のものだった。
「あの…陛下から伝言を伝えに参りました」
「何だ?」
ネイトが問う。
「今日朝一に会議がありますので、隊長殿は全員会議室に来るように…と」
「陛下直々なのか?」
青年兵はゆっくりとした口調で、歳の割には落ち着いてみえる。
「いえ…側近のサマエル様からです」
「ああ、新人の側近か」
リンクスは頷いた。
ネイトにさっき聞いた話か…と心の中で思いながら。

「では…私はこれで」
伝言を伝えた後、若い兵士は静かに扉を閉め部屋を後にした。

「…誰だ、あいつ?初めて見る顔だぞ」
閉められた扉を眺めながら、リンクスはネイトに向かって聞いた。
「ああ、歩兵隊の新人だろ?最近また何人か募集したらしいからな、確か…ゴーン…なんとかとか言ったな」
「お前物知りだなぁ」
感心しつつ、机に投げ出していた足を組みなおした。
「お前が知らなさすぎだ。隊長ともありながら。俺が補佐で良かったものの」
「へいへい。感謝致します。ネイト竜騎士隊補佐官殿」

まったく…とネイトは呆れたが、いつもその人の良さに嫌な思いはしなかった。

昔からそうだった―――最後には俺に全てを託す。
全身全霊で俺を信用しているのが判るから、ここまで着いてきたんだ。



「リンクス・ハイウインド、ただいま到着しました。入ります!」
夜も更け、ロウソクの薄明かりだけが灯る廊下の前で、リンクスは扉の向こうに待っている人達に向けて声をかけた。
「どうぞ、お入り下さい」
若い男の声が聞こえたのを確認し、重い会議室の扉を開けた。
そこには十数人の各隊長と大臣一行が並んで、それぞれ長いテーブルに着いている。
どうやら、リンクスが最後の参加者らしい。
「遅れまして…」
「構わないよ、早く席に着きたまえ」
軽く平謝りをした後、一人だけ立っている男に声をかけられ、渋々と 残っている椅子に腰をかけた。

(静かだ…)
リンクスの座った椅子の音だけが響き、シンと辺りが静まり返った。

(会議っていうのは嫌な仕事だよなぁ…。ネイトに任せりゃ良かった)
黙っているが、心の中は不満だらけだった。

昔からリンクスは座る仕事と人の集まりは大嫌いだった。
本当は隊長の任も辞退したいほどだったのだが、陛下に任命されてしまった手前、断ることは出来ずに、今日まで至っている。
ここまでやってこれたのは、隊長補佐である片腕のネイトのおかげだと感謝もしているのだが。

(実際、隊長の任ってこんな事ばっかりだぜ!
一日何回会議すりゃいいんだ。しかも実のない話ばっかり!あーあ、やっぱり動かなきゃ、竜騎士らしく闘わないと、倒れてしまいそう)

心中は今穏やかではなかった。


「お集まりになりましたね、皆様」
リンクスが入ってきた別の扉の向こうから声が聞こえた。

そして静かに扉が開く。

「……」

リンクスは無言になった。
周りにいた隊長達と大臣一行も声が出せずに無言になる。
現れた人物―――初めて見るサマエルという側近は人間と思えない程の美貌の持ち主だった。

性別を超えた容貌というのだろうか?

輝きを放つ見事な銀髪を長くたらし、顔は透けるように白く、同じ人間とは思えない妖艶な雰囲気をかもし出していた。
服装は司祭のような薄い青一色で統一し、見るからにカリスマがあることが伺える。
(男…だよな。か弱そうな風体の割には、かなり鍛えているみたいだ)
国民を統率する陛下と同じ精神を感じ取れる。
(こいつは…只者じゃねえな…)

「急な用件にも関わらず、お集まりいただき、感謝いたします」

丁寧な言葉使いで皆を迎える。
中にはその美貌に釘付けになる者さえいた。
(おかしい…)

「では、始めましょう」
リンクスは徐々にじわり、と心に沸いた疑問を隠せなかった。
この声に聞き覚えがあるような…?
どこだ?どこでこの声を聞いたんだ?
声と言うよりも、心の中に入り込んでくるこの声。

―――違和感がある。



「……リンクス・ハイウインド隊長…」
「え?あ、ああ!」
不意に呼ばれた為に驚き、大声をあげながら咄嗟に立ちあがってしまった。
「聞こえてますか?大事な会議ですよ」
サマエル側近に注意を促される。
それと共に、周りからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「いけませんな、いつもの癖ですかな?いつもリンクス殿は会議の内容を聞かないと有名ですからな」
大臣の一人に嗜められる。
「は…はぁ…すみません」
恥ずかしさで一瞬顔が赤らんだが、すぐに沸々とした怒りが沸いてきた。
感情を出来るだけ押さえつつも、ムッとしながらも席にまた着く。


(だから嫌なんだよー!!こんな仕事、俺は帰りたい!)
…とは、心で叫んでも口に出しては言えなかった。

「大丈夫ですか?今の話のおさらいを致しましょう」
サマエルにさえ馬鹿にされたような言い方をされて、増々不機嫌になりつつも、
「…お願いします」
とだけ答えた。
それを見図るように頷くと、サマエルは話し始めた。

「今、国内では小さいながらも、小競り合いが続いています。そして、最近現れた魔物にも市民が脅かされる状態です」

―――そんな事は前々から知っている。
その為に、俺達は毎日のように街に狩り出されているからな。
リンクスは肘をつきながら話を聞いていた。

「私の独自の調査によると、魔物はある特定の場所から発生していると結果が出たのです」
「…それで?」
「その場所は、我々と不可侵条約を結んでいる、ダムシアンからと判りました」
「なに?!」
突然の答えにリンクスは驚きの声をあげた。
「ダムシアン周辺には今だ我々の知らない土地が数多くあります。鬱蒼と茂るミストの森も未開拓です。
砂漠近辺にある洞窟も、おそらく未知の次元へとつながるものもあると考えられます。
それに、ダムシアンは独自の移動技術を持ってますからね、各地への移動も簡単にできるのではないでしょうか? 」
「各地へ移動?」
「デビルロードのような次元を操り、魔物を引き寄せる技術もあるかもしれません。」
「冗談だろ」
「…残念ながら、調査結果がでましたので…」
納得のいかない回答に、更にリンクスは身を乗り出して問う。
「じゃあ、何だって言うんだ?
ダムシアンが俺達にモンスターを使って攻めているとでも言うのか?」
「…断定はできませんが、おそらくそうと考えて良いでしょう。私の推測の域をでませんが、魔物を呼び寄せ、世界を混乱に陥れようと画策しているのかもしれませんね」
「目的は?!」
「…ダムシアンのような砂漠地帯はいつか枯渇してしまうかもしれません。今のうちに世界を乗っ取ろうとしているのではないでしょうか。もしかしたら幻獣士のように魔物を操る者がいるかもしれません」
冷静に、かつ淡々とサマエルはリンクスの問いに答えた。

「平和を保っていたと思っていたのに…」
「ダムシアンが我々に攻撃を…」
「けしからん!直ちに制圧をしなくては!」
その言葉を聞いたあちこちの大臣から焦燥と怒声が聞こえる。

「……」
リンクスは無言になった。
「…小競り合いは今に大きくなるでしょう。
私はある提案を皆様にお伝えしたく、今日こうしてお呼びしたのです」
不機嫌になりつつも、サマエルの言葉を待つ。

「皆さんに提案したいのは、これから先…おそらくこのまま放置しておけば、各国家からも攻撃を仕掛けられると考えられます。
兵の弱いダムシアンを始めとした国々は魔物を使い、そして罪のない民を巻き込み、多大な犠牲者を生むでしょう。今小さな競り合でも触発され、やがては大きく発展し、戦乱の世を引き起こす切欠となるかもしれません。そして、我々軍事国家バロンは一番の標的になる…これは否めませんね」
「それに対抗するには…?」
リンクスの横にいた陸軍隊長が問う。
「そうです。王政の強化と、各軍隊の増強。そして新しい部隊の結成―――」


「暗黒騎士隊の結成です」


―――嘘だろ?!




FC2 Blog Ranking


二次小説ランキングへ

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 セシル×ローザ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン×ローザ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン夢小説
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 ジ・アフター
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 前世代の物語
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 セシルの物語
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FFX アーロン×ティーダ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DDFF カイン×ライトニング
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DDFF クラウド×ティファ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DFF ティーダ×ユウナ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DDFF ティーダ×セシル
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆風光る・沖田総司×セイ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 セシル×ローザ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン×ローザ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン夢小説
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 ジ・アフター
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 前世代の物語
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 セシルの物語
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX アーロン×ティーダ
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX コミック
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF カイン×ライトニング
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF クラウド×ティファ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DFF ティーダ×ユウナ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF ティーダ×セシル
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF6 短編小説
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF7 短編小説
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF9 短編小説
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆風光る・沖田総司×セイ
もくじ  3kaku_s_L.png ◆過去記事
  • 【FFX ガード】へ
  • 【FFX Next Generation 26】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【FFX ガード】へ
  • 【FFX Next Generation 26】へ