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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 15・ゴルベーザ編

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・15



窓から外を覗くと、霧の立ち込める山々が眼下に見えた。
「飛空艇…なのか」
何かに揺られている感覚がする。エミルは両手を天井に吊るされた紐で縛られたまま、小さな部屋に閉じ込められていた。
意識が戻るとすでに人の姿はなく、ファブール城から遠ざかっていた。
「セシルは、負けたのか」
悔しさと自分の不甲斐なさに、がっくりと顔を項垂れた。
ゴルベーザという男の力は未知数だった。けれどセシル達は命を顧みずに、クリスタルを守るため立ち向かっていた。
「悔しいな…」
クリスタルの存在する意味も判ってきたが、今のエミルの状況ではどうする事もできなかった。
あっさりと攻撃を返され、こうして捕らえられている。
「もう、戻ってこれないのかな…」
遠く離れたバロンを想い、悔しくて唇を噛み締めた。

人質としてゴルベーザに捕らえられたローザとエミルは、それぞれ別の部屋に閉じ込められた。
赤い翼の飛空艇の中は広く、時折廊下の窓から技師や兵士の姿も確認できた。おそらくその者達も、カインと同じくゴルベーザに操られたのだろうか。中にはバロンで見知った顔も数名見えた。
それに時折部屋の外から女性の声が漏れて聞こえてきた。恐らくローザは近くの部屋に縛り付けられているとエミルは推測をする。
酷い目に合わされていないだろうかと、エミルは無事を願って信仰する神に祈っていた。

「おい、出ろ」
突然隅にある扉が荒々しく開き、一人の兵士が入ってきた。
「…なんだ、お前は」
エミルはその兵士を睨み付ける。
「随分と横暴な女だな。流石バロンの近衛兵か」
「お前こそ、ゴルベーザの犬か」
悪態をつくような捨て台詞さえも、この兵士の前では効果がないようだ。冷静に対処できるように日頃から訓練されているのだろうか。
「減らず口をつくのも今のうちだな。ゴルベーザ様がお呼びだ」
「ゴルベーザが?」
縄を解かれ、強引に引きずられるようにして外に出される。そして長い廊下を歩き、一段と大きな扉の前で立ち止まった。
「ここだ、入れ」
兵士は扉を開け、放り込むようにしてエミルを中へと入れた。
「…っ」
体を押された瞬間、転げそうになり膝をついたが、片手を着き素早く起き上がる。
「ようこそ、エミル」
その声に促されるように顔をゆっくりとあげると、一人の若い男が大きなソファーに腰を降ろし、こちらを眺めるように目線を向けていた。
「この声はゴルベーザ…」
漆黒の甲冑で全身を包んだ普段の姿とは違い、今は白いローブに身を包み、鍛えられ引き締まった筋肉が服を透して見える。そして特徴がある肩下まで伸びた銀髪を靡かせ、端正な顔立ちは悠々とした表情をしていた。
「……」
誰かに似ている、とエミルの胸中にモヤモヤとした思いが沸きあがる。しかし、ゴルベーザの言葉に突然思考を遮られた。
「お前はカインとセシルと共にバロン士官学校の同級生だったらしいな」
「……」
黙り込み、睨みつけるエミルに、ニヤリとゴルベーザの口元が笑んだ。
「そして、今はカインとは恋人同士だとか」
「……お前には関係がない」
一瞬その言葉に体が震える思いがしたが、無理に押さえ込む。先の戦闘でこの男に負けた今、対抗できるのは、言葉での反抗しかない。
「気の強い女だ」
「ローザをセシル達の元に戻せ!」
「飛び立っている飛空艇からどうやって?第一裏切ったのはセシルの方だ。大人しく他国からクリスタルを奪ってくればいいものを。お前もバロン国の近衛兵ならば、状況は判っているだろう」
エミルは唇を強くかみ締める。誤っているのはバロン国の方だった。そして裏切ったのは…。
「兵士達を操っているのは、ゴルベーザ、お前だ!誇り高きバロンを汚した罪は重い!」
「ほう…」
ソファーからゆっくりと立ち上がると、膝をついているエミルに近寄る。
「気の強い女は好きだ。だがあまりにも私に反抗的ならば、カインの様に洗脳も考えないとな…」
同じく膝を付き、深く黒にも似ている真紅の瞳をエミルの視線と合わす。少しでも逸らしてはいけない、とエミルは強くゴルベーザを睨み付けた。
「何が目的だ」
「フッ…良い瞳だ」
ゴルベーザの薄笑いと共に、エミルの脳裏がぼやけ始めた。油断したと悔しさに顔を歪ませ、視線を逸らそうとするが、最早逃げられずに捕らえられたまま。何度も頭を振っても、意識が遠のいていく。
「催眠術…か…卑怯…者…」
「私の目的は、世界征服、とでも言っておこう」
「そんな…事…許さない!」
最後にありったけの力を振り絞り、エミルは言葉を吐くが、そのまま記憶を失い床へと倒れこんだ。
「私を楽しませてくれる者は好きだ。お前も、カインも…」
ゴルベーザは倒れたエミルを抱き上げると、奥に続く扉の向こうへと姿を消した。


「ん…」
シンと静まり返った漆黒の部屋で、そこだけが熱く焔が揺らめき、エミルは一糸纏わず、白い裸体を晒され台座の上に横たえられた。
「は…っ」
熱くなる体に台座の冷たい感触が突き刺さる、エミルはそんな感覚に捕らえられているようだった。
もがいても、もがいても、誰も何も捕まえられない。
「あ、ああ…!!」
そして、痛みに似た快楽が身体を刻みつける。血が台座を伝い、薄暗く冷たい床にひとつ、ふたつと雫になって落ちる音がする。
「はぁっ…!」
何かが身体中を巡り、そこからジンジンと熱くなる。
ただ静寂だけが広がる部屋で、自分の熱い吐息と漏れる声だけが反響して、耳元に聞こえる。
悪夢の中だと、エミルは思った。
「カイン…っ」
自然と声が出てしまう。
そして、記憶が遠のき、誰かに弄られていく。
―――私は…?
私は誰かを愛していた。
ただ、貴方だけを愛していた。
それだけは、何があっても手放さないと、誓った。



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