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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 20・ゾットの塔編

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・20




「カイン!」
もう何を言っても聞こえていないのか。やはりゴルベーザの洗脳からは逃れられないのか。
「待て!」
咄嗟にエミルはカインに近寄り左腕を掴む、と同時にカインは振り返った。
「…まだ何かあるのか」
「貴方は…」
竜騎士の兜を深く被ったカインの表情は判らない。だが確かめたかった。
「貴方は本当のカインか?」
その言葉に反応してカインの薄い唇が少し開く、それをエミルは黙って見つめていた。
「…そうだ」
「判った」
エミルは掴んだ腕をそっと放すと、無言でカインは振り返り、目の前の塔の中へと姿を消した。
「……」
エミルはそっと自分の胸を掴むと、屈みこむ様にうつ伏せた。
―――あれは、カインだ。
嬉しかった。


カインは操られていない。
私の掴んだ腕を振り解かなかった貴方は…今心の中で闘っている。


胸の中でざわめく想いを閉じ込め、顔を上げた。



広い平野の中央に突如として現れた塔は、不気味な存在感を醸していた。
一体何の為に建てられたのか、捕らえられたエミルには判らなかった。 
「エミル!」
一人の兵に背後を押され、塔の中へと促されるように入ると、突然背後で聞き覚えのある声が響いた。
「…セシル?!それにシドも…」 
振り返ると、そこには姿を変えたセシルと仲間達がカインと同じ赤い翼から降りてきた。
「久しぶりだね。無事で良かった」
「…セシル…その姿は?」
ずっと変わっていない柔らかい笑顔に何故かホッとしてしまう。しかし余りにも変化したセシルの姿に驚き、戸惑ってしまう。
全身を純白の騎士の鎧で纏い、腰には聖騎士だけが許される銀製の大振りの剣を携えていた。全身から発せられる気は以前の暗黒とは打って変わって、高貴で輝かしい。
「ああ、君には伝えられなかったね。僕は…あの後、試練の山に登り、暗黒騎士ではなく、パラディンとして使命されたんだ」
「聖騎士…になったんだ」
以前聞いた事があった。パラディンとは、聖を纏い、正義を貫き、人の為に尽くす誇り高き騎士。
技術や体力の強さだけではなく、精神も鍛えられてこそ名乗れる剣士だった。
「僕はバロンの為に暗黒の剣を極めた。だけど、それでは大切な人を守ることはできなかったんだ」
「それで試練の山に…」
「僕は今まで大勢の人を犠牲にした。決して許される事ではない…だからこの命を賭けて償いをするつもりだ」
暗黒騎士を重んじるバロン国とは正反対の存在だった。だが、セシルの精神は最早「聖」そのものであり、荒んだ世界を変えるには必要不可欠な存在になっていた。
「……」
ふと、露になったセシルの銀髪に違和感を覚えた。
「エミル、どうした?」
「え…ううん。何でもない」
慌てて頭を振って否定をする。


―――あの男に似ている。


まさか、と心の底から湧き上がる疑問を押し隠した。
「でもどうしてセシル達がここに?」
フッ、とセシルは皮肉な笑みを漏らした。
「カインに誘われてね…土のクリスタルを持ってきたんだ」
「土のクリスタル?」 
冗談っぽく返してはいるが、セシルの視線は鋭く、何処までも高く吹き抜けている天井を見つめていた。
「…ローザと引き換えと言っていた。恐らくゴルベーザも共にいる筈だ」
「え?!」
「僕はローザを守ると誓った。たとえ、自分の命と引き換えてもね…」
ゴルベーザとの闘いは以前身を持って判っていた。強い魔導の力を秘め、無限の力を得ているあの男と再び対峙することになるとは。
「セシル…貴方達に敵う男じゃない」
いつかこうなる事は判っていたが、まさかこの少人数で挑むとは無謀だと思った。
「…僕達の力では敵わない事は判っているよ。でも、ローザを助けたいんだ」
「そんな…」
「今までローザを守ってくれて、有難う」
ニコリとセシルはエミルに微笑む。大切な人を奪われても、何故ここまで優しくなれるのか。
これが聖騎士としての使命なのか。
「ううん…私こそ側にいたのに、助けられなくてすまない…」
「君も無事で良かった」
セシルはそっとエミルの肩に手を置いた。
「役者が揃ったようだな」
瞬間、塔の天井から聞き覚えのある声が響いた。
「カイン!」
「何処へ隠れおった!」
シドが天井に向かって声を荒げる。
「そう慌てるな…ゴルベーザ様から一言お礼が言いたいそうだ」
「ゴルベーザ!」
魔導士の姿をした老人が杖を強く握り締めて叫ぶ。すると、もう一人の声が響いてきた。
「約束を守ってもらって、嬉しい限りだ…」
エミルの全身が泡立つような感覚になった。まさかあの男の声を再び聞くことになろうとは。怒りにも似た思いが沸々と沸きあがってくる。
「姿を見せい!」
「逸る気持ちも分るが、私の礼も受け取って欲しい」
「礼?」
以前の闘いで共に闘っていたムンク僧が眉を顰めながら、尋ねる。
「私は君の愛しいローザと一緒に、このゾットの塔の最上階にいる。ここまで辿り着ければ、ローザの命とクリスタルを交換してやろう」
すると嘲笑いと共にゴルベーザは告げた。
「ゴルベーザ貴様!」
セシルは声を荒げた。
「早く来なければ、君の大事なローザの命の保証は出来ん…さあ、上ってこい!」
やがて、声は笑いと共に消えていき、後は静寂だけが周囲を支配していた。
「…卑怯者め!」
初老の魔導士が吐き捨てるように言うと、早々とその場を離れていく。
「…僕達も行こう。エミル、君の力が必要だ。共に闘ってくれるか?」
「ええ…」
エミルはセシルからミスリルの剣を受け取り、鞘から抜くと軽く降った。





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