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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 23

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・23



あの男が私を支配した。

そうだ…。

捕らわれた飛空艇で、ゴルベーザは手にしていた冷たい金属で私の身体を刻み、痛む身体と共に流れ落ちる真紅の血を他人事のようにただ見つめていた。

こんなのは快楽じゃない、ただ痛いだけ。

だけど私は声をあげることも、叫ぶこともできなかった。


「逃すか!ゴルベーザ!」
体勢を整え、再び聖剣を構えたセシルが駆け寄り、立ち去ろうとするゴルベーザ目掛けて刃を振り下ろした。
「ぐ…なめるな!」
ガキンと鈍い音が間に響き、ゴルベーザの漆黒に纏った篭手の金属が鈍い音を立てる。
一瞬フラリとゴルベーザの体が倒れるが、即座に手を翳し反撃の呪文を放つ。
「!!」
セシルの咄嗟の防御も間に合わずに、まともに魔法を喰らい、その場で倒れこんだ。
「ぐぅ…っ!」
腹に強い衝撃をうけ蹲ったが、顔を上げゴルベーザを睨み付ける。
「……!?」
ゴルベーザは手をセシルの前に突き出し、止めを刺すべく次の呪文を唱えるが、ふとその動きが止まった。
「ぐうっ…何故…止めを刺さない…」
腹部を押さえ苦しげにゴルベーザに問うが、それには応えない。
「…セシル……!?」
セシルの声にエミルが我に返り、反撃をしようと短剣を再び握り締めるが、ゴルベーザの動きに立ち止まった。
「お前は…」
彼の唸るような低い声が静寂な広間に響く。
「…?」
ゴルベーザの只ならぬその様子に、セシルとエミルは言葉を失う。
「お前はいったい…ぐ…ぐぐ!」
何かに襲われたかのように両手で仮面を覆い、何度も呻き声を上げると、グラリとゴルベーザの体が崩れた。
「…?」
「こ…この勝負、一先ず預けるぞ…!」
片膝をつき息を荒げた後、ゴルベーザはテレポの呪文を素早く唱え印を組んだ瞬間、体が透けていった。
「ゴルベーザ!!」
セシルとエミルはゴルベーザに駆け寄るが、既に遅くその姿は彼方へと消していた。


シンと静まったゾットの最上階の間。
「倒せなんだか…」
力無く膝を突き、悔しそうな表情をしたテラがポツリと呟いた。
握っていた筈の愛用のロッドがカラリと音をたてながら落ちていく。
途端に血の気を無くし、真っ青な顔を俯かせながらその場で倒れ込んだテラの周囲を、目を覚ましたシド達がグルリと囲んだ。
「喋っちゃいかん!」
シドは膝を突き、テラの為に薬草を腰の巾着袋から取り出し調合を始めた。
「もう…手遅れじゃよ」
「諦めるな!」
テラはシドの言葉にクッと喉の奥で笑むと、頬に一筋の涙が流れた。
「これも…憎しみに囚われて戦った報いかもしれん…アンナの仇を…たの…!」
「テラ!?」
頭を小さく挙げ、天を仰ぐように視線を上に向けると、ゆっくりと息を吐く。
それは永遠に続く星の瞬きのように。
天から輝きが舞い降り、テラの身体を包み込んでいく。
そして命が一つ、星と共に旅立っていった。

「目を開けんかい! このクソ爺!!」
「テラ殿…」
その表情はとても穏やかで、残された仲間達を憂いているかのようだった。
シドが拳で床を強く叩きつける。ヤンは俯き、セシルは強くどこかを睨み付けている。
「娘さんと…安らかに暮らすんじゃぞ…」
そしてシドは顔を伏せたままポツリと呟いた。

エミルは膝を地面に付き、横たわるテラの両腕を胸元で組ませた。
まだその身体は暖かく、まるで眠っているかのように穏やかな表情だった。
戦士となり、戦闘で死んだ者達は無数に見てきた筈なのに、哀しみが襲ってくる。
愛した家族を失い、その復讐で命を賭けた大魔導師。
願いは叶わず、志半ばで潰えてしまった。
「…今頃、愛していた娘さんに会えたかな」
この青き星で一体幾つの哀しみと怒りが渦巻いているのだろうか。
クリスタルを巡って、幾つの命が奪われているのだろうか。

―――そんなにもクリスタルが…?

「テラ…アンナの仇は…僕らが討つ!」
セシルはそのクリスタルに捕らわれた者達を救うのだろうか。
「エミル…」
「え…」
不意に声をかけられ、テラの為に祈りを捧げていたエミルは驚いて振り返った。
「…僕達の戦いに君を巻き込んでしまってすまない。だけど今は君の力を必要としているんだ」
「……」
「このままじゃ、テラのような犠牲者が増えるばかりだ。僕達と一緒に闘って欲しい」
「私…」
セシルの強い視線に堪らず、地面に目線を落としてしまう。
「君の性格は僕が良く知っている。あんなにもバロンを憂いていて、強くなる為に頑張っていたんだ…」
それでもセシルは真っ直ぐな瞳で、エミルの答えを待っている。
「私からもお願いする、エミル殿」
「そんな…」
ヤンが頭を下げる。
「ワシもお前の事は良く判っておる。お前はバロンと民の平和を願っていたじゃないか」
「シド…」
エミルはシドの言葉に俯いた。

私の願う、平和とは…?

「…う…っ」
エミルの背後で呻き声が聞こえ、慌てて振り返った。
「カイン…!」
カインは倒れていた体をゆっくりと起こし、額から流れる血液を片手で覆う。
「今動いては…!」
エミルはカインに駆け寄り、兜をそっと外したが、途端に生々しい鮮血が額から流れ出てくる。エミルは自分の服を袖から破り、額にあてて手当てをした。
「エミル…?セシル…」
「大丈夫か、カイン」
額に手を当てていたエミルの手の上からカインは手を重ねるが、その手が震えている事に驚きエミルはカインの顔を見つめた。
「…カイ、ン…?」
するとカインの表情も青ざめ血色を失い、エミルは言いかけた言葉を飲み込む。
カインの視線はセシルを向いていた。
「…セシル! す、すまん…俺はなんという事を…」
「カイン…」
カインが片足を上げ勢いよく立ち上がると、鎧の隙間から擦れた金属音が広間に響き渡る。やがて目の前に立っていたセシルと向かい合わせになった。
「操られていたんだ…仕方ないさ」
セシルは微笑しながらカインの肩に手をおくが、カインは悔しそうな表情を返すだけだった。
「しかし…意識はあったのだ。俺はローザを…」
「え…」
エミルの胸に一つの針が突き刺ささり、それは鋭い痛みを伴った。

―――愛している。

ローザの想いと、カインの想いは同じだった。





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