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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 24

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・24



凍りついた恋のかけら、冷めた心に突き刺さる。

「…ああ…そうだね」
セシルが小さく呟く。
幼い頃から身近にいた女の子。二人は想いをひた隠し、成長を見守ってきた。
でもお互いに判っていた。
たとえ運命が分かれてしまっていても、この想いは変わらないと判っていた。
二人の間に静寂な時が広がる。
脳裏には幼い自分達が浮かんでいるのだろうか。

「…だが…」
沈黙を破り、先に口を開いたのはカインだった。
「俺は一つの答えを見つけた…だからここにいる」
「ああ…」
―――知っているよ。
セシルはカインに向かって笑みを返すと、彼は目を閉じ、顔を天に向けた。


セシルは手に握っていた聖剣を再び鞘に戻し、何度も辺りを見回した。
「ローザは!?」
「この上だ、時間が無い!」
カインは素早くエミルの手当てをした布を頭の上で縛り止血をし、階上に続く大きな扉に向かって走り出した。
「カイン!!」
エミルが止める間もなく、セシルとカインの姿は遠く消えてしまった。
「我々も後を追わなくては」
両手にはめていた爪を腰に下げ、ヤンも幾分焦った表情を見せる。
「うん…」
不安な気持ちは拭えなかったが、二人が消えた先へと急いだ。
「っつ…」
頭痛が酷くなる。
エミルが額に手を当てると、生暖かいドロッとした感触が伝い、慌てて掌を見ると、うっすらと血が滲んでいる。
「…え…」
しかし、それは幻だった。
「怪我…?…っつ!」
立ち上がったエミルに、更なる痛みが襲ってくる。 
先程のメテオの衝撃で何処かに頭を打ってしまったのだろうか、しかしこの痛みは怪我をした感じではない。
「…エミル殿?」
横にいたヤンがエミルの様子に気がつき、心配そう声をかける。
「大丈夫…大丈夫だよ」
「怪我をされたか?」
「いや…そんなんじゃ…。それより早くセシル達を追わないと」
「承知!」 
フラリと一歩一歩前進し、後は自分の気力のみで、カイン達の向かった扉へと走り出した。

「ローザ!!」
「セシル!」
セシルが素早く柱に繋がれたローザの鎖を剣で断ち切ると、身体を無理矢理引き寄せる。同時に頭上に設置されていたギロチンの鎖が外れ落下した。
「セシル!ローザ!無事か!」
カインが叫ぶ。
硬い金属の塊は凄まじい音を立てながら床に落ち、辺りの埃を舞上げた。
「……っ」
セシルの額に一筋の汗が流れ、時が止まったかのように辺りが静まり返った。
「セシル、ローザ!大丈夫かの?!」
頑丈な扉が少し開かれていたが、その隙間を後から到着したシドが力を込め大きく開き、中に入る。
続いてエミルとヤンが扉の中に入ると、目に飛び込んできたのは機械だらけの部屋で、セシルがローザを抱きしめていたところだった。
「……間に合ったか」
ほぅ、とエミルは安堵し、大きく息を付いた。
チラリと横に目を向けると、床に刺さるギロチンの大きさに驚いて、手に冷や汗をかいてしまう。 
もし、あと一歩遅かったら…と思うとブルリと身体が震えた。
「間に合って良かった」
その横でヤンも安心したのか、ホッと胸をなで下ろしていた。

「…セシル」
「ローザ…」
落ち着きを取り戻し、セシルとローザは強く抱いていた腕を緩め、ゆっくりと見つめ合う。
「私、あなたが来てくれると信じていたわ…」
ローザの強く輝く瞳にセシルの表情が変化する。
その表情に何故かエミルの胸がキュッと痛くなった。 

―――セシルの…ずっと、求めていた人。
この世界で一番、大切な人。

エミルの脳裏に、学生時代にカインとローザを見つめていたあのセシルの寂しげな表情が蘇ってきた。

セシルのかけらにローザのかけらが重なる。
それは同じ恋のかけらだったのだろうか。
それなら、カインの恋のかけらは…?

「……」
涙が一筋エミルの頬に流れる。

どうしてだろう?
重ならなかった彼の恋を思うと、哀しくなる。
自分よりも、きっとカインの方が哀しくて泣きたい筈なのに。

「……!」
その涙を拭く温かな感触に驚き、顔を上げる。
「カイン…」
すると目の前にカインが立ち、エミルを優しく見つめていた。
それはとても穏やかで、哀しげで。
「…カイン?」
エミルは背伸びをし、そっとカインの額に巻かれた布に触れる。 ビクリとカインの身体が震え、見ると触れた指に血が付着し赤く染まっていた。
「痛いのか?」
カインは首を横に振る。竜騎士の鎧で覆われて判らなかったが、よく見ると腕や足に無数の傷が刻まれ、血が流れ出ていた。
「馬鹿!こんなに傷だらけなのに…っ」
「…大丈夫だ。たいした傷ではない」
「嘘、言うなよ」
エミルは慌てて自分の腰に巻いていた布を外し、血止めをしようと顔を上げたが、既に大きな胸に抱き締められていた。
「…!なに…を」
微かにカインの身体が震えた気がした。
「……」
強く抱くカインの肩越しから、セシルとローザの姿が見える。
二人は互いに思いを通わせ、愛の言葉と共にどちらからともなく口付け合っている。

「カイン…傷は辛い?」
エミルは優しく微笑みかけ、そっとカインの背に腕を回すと耳元で囁いた。
「辛くはない」
カインもクスリと笑みを一つこぼすと、エミルの髪に口付けた。

「お前がいるから」

もう、辛くはない。




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