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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 26

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・26


エミルが辺りを見回すと、瓦礫の中に白銀のミスリルソードを見つけた。
周囲に散乱する岩を避け剣を手に取ると、軽く振る。幸い刃こぼれはしていなかった。
「エミル」
名を呼ばれ振り返ると、ローザが駆け寄りエミルの腕を掴んだ。
「え?」
「怪我、しているわ」
言われて腕を見ると、肩から肘にかけざっくりと切れて血が固まって貼り付いていた。
埃にまみれ汚れた服も腕の部分を中心に真っ赤に染まっている。
ここに来るまでに数々の激しい戦闘を繰り広げ、傷の痛みさえも忘れていたのだろうか。
「こんなの…カインと手合わせしたときに比べたら対した事ない」
エミルはローザに余裕の笑みを見せ、腕を振る。
「駄目よ、あなたは女の子なんだから」
そう言うと、ローザは素早く治癒の詠唱をして、腕に手のひらをあてる。
すると光が手の中で弾け、みるみるうちに傷口が塞がった。
「…ありがとう、ローザ」
「応急処置だけど、ごめんなさい」
「ううん、ローザの白魔法で助かってる」
ローザの手を取り、そっと握り返す。するとローザの頬が真っ赤に染まり、俯いた。
「私の白魔法なんてまだまだよ…エミルこそ、バロンの近衛兵なんて凄いわ、尊敬してる」
「えっ」
反対にエミルの頬が真っ赤になった。
「ローザ、こいつの腕は男並だ。俺も何度倒された事か…」
「カイン!」
横に歩くカインが呟くと、つられてセシルも吹き出した。

瓦礫の中を歩き、出口へと向かう一行に激しい風が吹き付けてきた。
空気が変わる。
「!!」
何者かの気配にセシルの表情が険しくなり、腰に下げた聖剣の柄に手をかける。
「誰だ!」
空中に漂う気配に目を向け叫ぶと、一斉に皆の緊張感が張り詰めた。
シドは木槌を抱え、エミルもミスリルソードを握り直し、耳を澄ます。
『ほっほっほほほ…ゴルベーザさまに手傷を負わせるとは、お前たちを見くびっていたようね!』
カインはスピアを天に刺し、睨みつけた。
「ゴルベーザ四天王、風のバルバリシアだ!」
四天王、その言葉にシドとヤンは身を堅くした。
すると強い風が吹き付け、周囲の瓦礫を高く舞上げた。
『カイン。お前も寝返ったようね。それだけの力を持ちながら! 』
次第に人物が形作られ、美しい女の姿に変わった。
人に似ているが、異界に住み着く魔物の様な妖しさを放つ。全身は彫刻のような血の通わない異様な白さで、薄い緑かかった髪は身長の何倍も長く身体で巻かれている。
黄緑色の透けた衣だけを纏い、整った目鼻立ちは幻獣アスラのように美しい。その深緑の切れ長の瞳でカインを鋭く睨んでいる。
「なんちゅー禍々しい美しさじゃ」
シドがポツリと呟いた。
「寝返ったのではなく、正気に戻ったと言ってもらおうかバルバリシア!」
時折強く風がバルバリシアの周囲から吹き付けてくるが、カインは表情一つ変えずに矛先をピタリと彼女に向けている。
「なれなれしく呼ぶでない! こんな事なら、お前もローザも消しておくべきだったわね。だが、メテオの使い手ももういまい。皆揃ったところで、仲良く葬り去ってやろう!」
槍を向けたカインの挑発にバルバリシアの口元がニヤリと笑んだ。
「来るぞ!!」
セシルが叫ぶと同時にバルバリシアの姿が人の姿から禍々しい魔物に変化した。
「風が…!」
凄まじい強風が辺りに吹き付け、散乱した瓦礫を持ち上げると、セシル達に襲い掛かる。
「砂埃で目を開けていられんわい!」
シドは木槌で目を防ぐが、その巨体を吹き飛ばす程の爆風が吹き付けてくる。
「くっ…!シド殿!私に掴まってください!」
「ヤン!大丈夫か」
セシルもまた片腕にローザを抱え聖剣を地面に突き刺し、身体を支えるが暴風に身動きが出来ずにいた。
無数の瓦礫が鎧に当たり火花と鈍い金属音を放つ。
エミルは身体程の大きさの岩で身を防ぎ、両手で剣を握り締め、バルバリシアの隙を見極めようと目を凝らした。
「…!カイン」
その強風の中、微動だにせずにカインは立っている。
―――竜騎士は風のようだと…

エミルは空高く駆けるカインを思い出していた。

「フッ、空中戦はお前たちだけのものじゃない!」
ニヤリとカインは笑むと、スピアを地面に勢いよく突き刺し、それを支えに大きく跳躍した。
空での闘い。
竜騎士の最も得意としている戦闘方法だ。
彼等に空中を取られたら、例え精鋭部隊と謳われた暗黒騎士と言えども敵わないだろう。
「くくっ、この負傷した体で私に敵うのか?」
バルバリシアは大きく翻してカイン目掛けて風の刀を無数に浴びせるが、間際でカインはかわし、スピアをバルバリシアに勢いよく突き刺した。
「ちいっ!」
しかし手刀で弾き返され、カインは小さく舌打ちをして壁に足を着き弾ませながら体勢を整える。
「無駄よ。たかが人間に私が敵うわけない」
「フッ、どうだか」
身体を低く構え、足を強く踏み込み、再び空へと飛び上がるとザザッと砂埃を巻き上げる。
エミルは体を起こしカインの行方を目で追う。頭上では激しい攻防が繰り広げられ、時折火花が散っていた。
「エミル」
その闘いを心配そうに見守っていたエミルに、背後からセシルが声を掛けてきた。慌ててエミルは目線を移す。すると耳元で囁かれた。
「え…」
その言葉にエミルが驚くと、セシルはニコリと微笑んだ。
「道中よくカインとやってた作戦だよ」

目線を上げるとキラリと光るものが目に飛び込んできた。
「あれは…スピア…」
「なにっ…!!」
カインは尚も高く跳躍力を上げ、バルバリシアよりも上に跳ぶ。
スピアの角度を変え、崩れた塔から射し込んでいる太陽の光に反射させた。矛先が輝くと、その眩しさにバルバリシアの視界が遮られ一瞬怯む。
その隙をカインは見逃さない。
スピアを高く掲げ、バルバリシアの風の衣、身体中心に突き刺す。
「ぐ、はあああーー!!!」
バルバリシアの叫びと共に身体に纏っていた風の衣が解けた。
「今だ!!セシル、エミル!」
カインが叫ぶ。
「うおおおーー!!」
そしてカインが地面に降りると同時にセシル達は走り込み、聖剣を大きく掲げ、バルバリシアの風を突き破りながら勢いよく振り下ろす。エミルは胴体目掛けて大きくミスリルの剣を振った。

聖剣の軌跡が描かれ、断末魔と共にバルバリシアの身体が脆く崩れ去る。

「おおっ!やったか…」
折り重なった瓦礫の中から、ゆっくりとシドが身体を起こして辺りを見回す。
「…恐らく…」
ヤンも耳を澄まし、気配を探る。
その瞬間、
『カイン、貴様…! この私を倒しても…最後の四天王がいる!このゾットの塔諸共…消え去るがいい!!』
バルバリシアの声が辺りに響き渡った。
すると地面の底から地響きのような低い音が響き出し、激しく揺れ始めた。 
「?!!」
「これはカイナッツオの時と同じ…」
ヤンの額に冷や汗が滲む。
脳裏にあの双子の魔導士達が浮かび、眉間が険しくなった。
「いかん!!この塔が崩れるぞい!!」
「皆!逃げろ!」
パラパラと建物の破片が落ち、激しい地震で立っていられずその場で座り込んで建物にしがみついた。
「くそっ!」
エミルの横でカインは悔しそうに舌打ちをしている。
『ほっほっほほほ…』
喧騒の中、バルバリシアの高々な笑い声だけが響く。
「く、崩れる!」
セシルは盾で瓦礫を避けるが、それも時間の問題だった。
「ヒャアア!」
慌ててシドは出口を探して走るが、最早建物の形すら危うくなっていた。
「私につかまって!」
「ローザ!」
エミル達は術を詠唱しているローザに駆け寄ると、降り注ぐ瓦礫を防ぐ。
詠唱が終わり、媒体にした杖を翳すと全身が白く輝きだした。
「テレポ!」

その刹那、六人の身体はその場から消え去っていった。





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