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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 29

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・29



夜が明け、朝日が東から登り部屋の中へ差し込む。
「ん…眩しい」
ベッドの中でお互いに触れ合いながら、深く眠りについていたが、太陽の光の眩しさにうっすらと目を開け体を起こすと、大きな胸に抱かれていた。
「…カイン?!」
闇夜では慣れていた筈なのに、太陽の光に照らされたカインの逞しい裸体に恥ずかしくなり、思わず胸に顔を埋めてしまった。
「エミ、ル…」
カインも目を開け、エミルの背の中まで伸びた金髪を一房掴むと指に絡めた。
「伸びたな…」
「うん、貴方に斬られた以来伸ばしっぱなし」
「そうか…」
そして髪に口付ける。
「短いのも似合うが、長いのも綺麗だ」
「そ、そうかな?」
「お前は綺麗だ」
頬に手をあてて引き寄せる。カインの胸の上にさらりとエミルの髪が落ち、朝日に浴びてキラリと光った。心臓に耳をあてると力強く鼓動している。その音にエミルの目が赤く潤み、涙が溢れた。
理由も無いのに、胸が詰まり泣きたくなる。
「…何故泣く?」
「判らない…カインの方こそ綺麗なのに、私なんか…」
「泣き虫だな」
「そんな事、ない」
きっと、貴方の前だけ泣き虫なんだ。
カインの言葉一つに一喜一憂している自分が愛おしかった。

昨夜湧き上がった嵐のような思いは影を潜めたように消えていた。
だが、いつ再び現れるのではないかと思うと気が滅入る。

ゆっくりと起き上がり、朝食を用意していると先に自宅に戻り旅支度を終えたカインが戻ってきた。
「部屋はどうだった?」
温めたミルクを差し出す。
「相変わらずだったな。竜騎士団の宿舎なんて殺風景なものだ」
「久し振りに仲間に会えて良かったじゃないか」
竜騎士の鎧を抱え、旅人の服を着込んだカインに目線を移すと、ニコリと笑顔を見せた。
「まあ、な」
「どうした?浮かない顔をして」
「いや…俺が居ない間の事を聞いたんだが、竜騎士団の中でも何名かゴルベーザ側に着いて去っていった者がいるんだ」
陛下はゴルベーザに殺害され、四天王の一人が成り代わっていた。
そしてバロン国は荒れ果て、それに反発した者は処分され、各国に挙兵した兵士達も殆どが殉死、或いは魔物に姿を変えられ、今や近衛兵を含む軍人は半数以下までに激減していた。
「そう…」
エミルの同僚達もどうなったのか皆目見当がつかなかった。
「カイン、ベイガン隊長は…?」
ゴルベーザによって魔物に姿を変えられてしまっていた。エミルはその後の行方が気掛かりだった。
「城に乗り込んだセシル達に襲い掛かったらしい。その場で死んだ」
「そっ、か…」
エミルが近衛兵に入隊した頃から世話になり、厳しくも優しい真面目な騎士だった頃を思うと、胸が痛かった。
「軍人ならばいつ身命を賭しても後悔はないとはいえ、ベイガン隊長は無念だっただろう」
「うん…」
きっと亡くなった陛下や、志半ばで潰えたベイガンは無念だったに違いない。

バロン国はこの先どうなるのか、まだ二人には判らなかった。

「行くか」
朝食を済ませ、エミルも旅支度を整え鎧に身を包むとカインが傍に寄って来た。
「カイン?」
「お前は待ってろ、と言いたい所だが」
「無理。セシルが一緒に闘おうって言ったじゃないか」
クスクスとエミルが屈託なく笑う。
「そうだな…」
「それに、皆を守るのが私の使命。バロン国の近衛兵として栄誉ある事だから」
「……」
カインは無言でエミルを見ていた。
「正直言って近衛兵なんて、魔導士や聖騎士達に敵わない職業かもね。白魔法も使えない。だけど、誰かを護衛したり、盾になったり、剣術で闘う姿はどの職業にも負けていない」
「……」
「いざとなったら、カインの盾にもなれるから」
誇り高いバロン国の戦士。
その強く輝く真っ直ぐな瞳に惹かれる。
カインは思わずエミルを抱き寄せ、そして口付けをした。
「お前は、バロンの騎士だ」
高貴な騎士に惹かれていた。


城に近付くにつれ、エンタープライズの大きさを実感する。
「これが…シドが作った最新鋭の飛空艇」
「エミルか。フォッフォッ、お前にまだ見せていなかったな」
シドがスパナ片手に飛空艇からひょっこりと現れた。
「こんな大きいの、よく隠していられたな」
「灯台下暗しってヤツじゃよ。城の地下に紛れ混ませて、他の飛空艇の製作の合間に作れば誰にも気付かれん」
「ああ、城にいた私も気付かなかった」
満足げに髭を触りながら笑うシドに、エミルはクスッと笑みを返した。
「おはようございます」
ヤンも宿からこちらに向かって姿を現した。
「おはよう、ヤン」
「エミル殿、闘いの疲れは取れましたか?」
「あ、うん。すっかり元気だよ」
ガッツポーズを作りながら笑顔で返す。
「それは良かった。昨日の闘いで大分具合が悪そうだったから心配していたんですよ」
その言葉に横に立っていたカインの目が鋭くなった。
「そんなの…あれ位の事、心配ないって」
ゴルベーザとの戦闘の後、急激に襲ってきた幻覚と眩暈。思い出すだけで足が震えそうになる。
だが今となってはそれさえも夢だったように、体調はすっかり良くなっていた。
「ヤンこそ、傷は大丈夫?」
「お気遣い感謝する。なに、あれしきの事、修行の時と比べたらたいしたことはありませんぞ」
ヤンは腰にぶら下げた爪に手を当て、笑った。
バロンには存在しないファブール独自の格闘戦士。
その鍛えられた無駄のない肉体と、何事にも揺るがない強靭な精神にエミルは羨望の眼差しを向けていた。
「おお、ヤンも来たかい。夕べはカミさんに会えずに寂しい思いをしたじゃろう?」
「そ、そ、そんな事はありませんぞ!」
シドの言葉にヤンの表情がサッと変わり両手を振って否定をした。額にうっすら汗をかいているようにも見える。
「ヤンの奥様…?」
「ファブールに残したカミさんじゃぞい。フライパン一つで闘う勇ましい勇者じゃ」
ニヤニヤと笑うシドの反面、青白くなって自分の髭を弄るヤンの姿がおかしくて、エミルは吹き出して笑ってしまった。

「シド!荷物の積み込みは終わったよ」
甲板の上からセシルが覗き込むように顔を出し、シドに声をかける。
「おお、今そっちにいくぞい」
慌ててシドは甲板に向かって走り去っていった。
「エミル!来たのか」
セシルが爽やかな笑顔でエミルを見る。
頬を少し赤らめながらエミルはセシルに手を振って返した。
―――何かがふっきれたような笑顔。
セシルはもう前を向いて進んでいるんだ。
ふと、腰に携えた長剣の鞘が重く感じ、手を添えた。



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