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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 32

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・32



掌に血液が溢れ、雫となり地面へと落ちる。
ポタポタと止めどなく零れ、そして床に血だまりを作り赤く染まった。

「な……っ?!」
驚いて目を凝らすと、それは跡形もなく消えている。
「幻覚…」
ゾットの塔で見た、あの感じだ。
これは何の意味があるのだろうと、エミルは掌を見つめ思考を巡らせていた。


やがてアガルトの島に飛空艇を停泊させ、セシル達は村へと向かった。
ジャリジャリと乾いた砂を踏み締める音がやけに耳にこびり付く。シドの話では海岸沿いから近い位置に小さな集落があるという。
陽の暑さに耐えながら下を向いて歩いていると、背後から声が聞こえた。
「見ろ、あの石壁」
カインが指差した先に村の入り口が見える。その中心に周囲の雰囲気に似つかわしくない、頑丈な岩盤で作られた建物が聳えて目立っていた。
「ありゃ、なんじゃ?聞いてみるかの」
一足先に走っていったシドが警備に立つ若者に話を聞いている。
「鍵…」
セシルが手の中の石を見つめる。
「どうした?セシル」
「いや、何でもないよ。ただ…」
「ただ?」
エミルが尋ねる。
「何故ゴルベーザが持っていたのかな、って考えていたんだ」
「……」
エミルも答えられずに眉をひそめた。

「この村の言い伝えによれば、全てのものには裏と表が存在する。そう、この世界にも…」
側で話していた村人の会話にセシルは振り返った。
「裏と表…」
「お前さん、見掛けない顔じゃね。外から来なすったのかい?」
顔が皺だらけの老婆がセシル達の身なりをジロジロと眺め、やがて枯れ木のような手で杖を付きながら、ゆっくりと折れ曲がった体をこちらに向けて笑う。
「そうです。僕達はバロンから来ました」
「そうかい、そうかい」
バロン、と聞いて驚く様子もなく、片手に持つ杖をトントンと地面に叩くと、木の軽い音が響く。
「表と裏とは…?」
「この地に伝わる話じゃよ。アガルトだけじゃない、この世の全てに裏表が存在している、お前さんもそうじゃなかったのかい?見た所、聖騎士のようじゃが…」
「え…はい、以前はバロンの暗黒騎士でしたが…」
セシルの言葉に一瞬老婆の表情が変化したが、すぐに緩やかになる。
「お前さんも裏と表の世界を見てきたのかい?」
「……」
そして老婆は杖をつきながら、ゆるりとその場を立ち去っていった。

「聖騎士と暗黒騎士は表裏一体…」
セシルの眼差しが少し揺れた。

―――光と闇のクリスタルを全て揃えた時、月への道が開かれると言っていた。
カインの言っていた言葉が脳裏を掠める。

ゴルベーザがカインに託した何処かへ続く鍵。
それがセシル達にとってどう運命を導くのか、判らない。

「ここは、古くから伝わる井戸が奉ってあるんです。 その深さは計り知れないとか」
警備をしている青年が、中の様子を尋ねたシドに答えた。
「井戸か…」
シドは暫く考え事をした後、その男に扉を開けるように頼んだ。
「良いですよ」
案外あっさりと開けてくれた事に拍子抜けしつつ、シドは皆を呼び中へと促した。
「これか」
小部屋の広さの中に質素な石畳が所々捲れ、下の土が剥き出しに見えていた。その中央には古い井戸がひとつだけひっそりと存在している。
「底無しのように深そうだ…」
中を覗くと水面さえ見えない。どこまでも深く、吹き上げてくる風に不気味すら感じてしまった。
「これは…落ちたらひとたまりもありませんな」
穴を覗いていたヤンがゴクリと喉を鳴らす。
その横でカインがセシルに顔を向けた。
「あの石を井戸に入れてみろ」
「石を?」
「可能性を求めてアガルトに来たんだろう?」
「ああ…」
不確かな手掛かりを求め、彷徨う。
セシルは手に持っていたマグマの石を井戸の中に投げ入れた。
「何か起こるんかいな?」
シドは井戸を覗き込み、石の行方を目で追っていた。

何処までも続く深い闇へ、石が落ちていく。

「何だ…」

すると、轟音と共に突然大地を揺るがす地響きが起こった。
「じ、地震?!!」
シドは腰を抜かしてその場で倒れ込む。
「どこかに掴まって!」
ヤンがセシル達に向かって大声を上げた。
いつまでも止まない地震に村人達も慌てて逃げ出している。
セシル達も立っていられず、倒れるように座り込んだ。
建物を塞いでいた屋根は飛んできた岩の塊に破壊され露わになった。その合間から土煙と石がパラパラと降ってくる。
土煙が吹き荒れ、盾で防ぐと大小様々な石が派手な音を立ててぶつかった。
「地震じゃーー!!」
建物を飛び出し辺りを見回すと、急いで家の中に逃げ込む者、その場でしゃがみこんで建物の影に潜む者もいる。
「エミル!」
カインが足元の覚束ないエミルの手を掴んで引き寄せる。
「あ、ありがとう…」
体を支えられながら転がるように井戸の影に隠れると再び轟音が辺りに響き渡った。
「セシル!後ろ!!」
隣に隠れたローザが目の前の参事に声を上げ、皆が指差した方向に顔を向けた。
「なんじゃ…ありゃ…!」

土煙が舞い上がり視界が悪い中、背後に聳え立つ山がマグマを吹き出し赤く染まっていた。



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