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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 41

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・41



「しまった!クリスタルを!」
「くそっ!」
カインはすぐさまエミルが消えた方向へと走り出した。
嫌な予感はあった。
あのゴルベーザが易々と逃げる訳がない。
洗脳されたエミルが闇のクリスタルを奪い、奴の下に行くことなんて予測できていたのだ。
「エミル…」
ゴルベーザの声は地底に侵入した時から常に聞こえていた。
闇のクリスタルを集めろと。
セシル達全員を抹殺しろと囁かれていた。
「馬鹿野郎…」
こんな洗脳如きに負ける訳はないとタカを括っていた。
もう二度とゴルベーザの甘い言葉に負けない、そう誓っていたのに。
「馬鹿は…俺だ」
エミルもゴルベーザの声が聞こえていた筈だ。
だけど、側にいれば守れると思っていた。
「…くそっ…!」
ゴルベーザに刺された脇腹が痛み、その場で疼くまり手をあてると鮮血で滑った。
白魔導で傷を塞いだ筈なのに、無理に動き再び開いたのか。
「守ると誓ったのにな…」
悔しさで唇を噛み締める。
息を大きく吸い、ゆっくりと吐く。
深呼吸を何度か続け、痛みが多少薄れた後、適当な布で腰を縛り上げ、再度エミルを探す為に立ち上がった。


──私は貴方を愛していた。
想いは深く、貴方に溺れていた。

セシルと旅立つ朝、行かないでと、あの時言えば良かった。
もし引き止めていたら…この運命は変わっていたのだろうか。

石造りの冷たい塔の最上階。
エミルは導かれ、その部屋に立っていた。

「…ご苦労」
目の前の男に手にしたクリスタルを渡す。
その掌の冷たさが男の心を反映しているようだ。
「…随分とお前は抵抗したが、私の洗脳の方が勝っていたようだな」
「……」
「…もう、何も考えられないだろう?お前の思考を遮ってやったからな」

何故自分はここにいるのだろうか?
頭の中が白く濁り、それさえ考えられなくなっていた。
「今のお前は人形同然。私の声しか聞こえない」
「……」
瓦礫の中から見つけた闇のクリスタル。それは地上で見たどのクリスタルよりも赤黒く光り、見た者の心を奪う妖しさを秘めていた。
地下の奥底で主を待ちわび、そして手にしたエミルを誘惑し、地底の王に変わり新たなる主の元へと導いたのは、この闇のクリスタルだったのではないか。
「残るはあと一つのクリスタルだ。エブラーナは陥落し、封印の洞窟も先手を打ってある。最早手に入れたも同然だが」
「……」
クリスタルを全て手に入れた後、この男は何をするのだろうか。意志を遮られたエミルには理解不能だった。
「エミル」
意識がぼんやりとした頭を声の主へとゆっくりと向けた。
「カインの洗脳も薄れてきた今、頼りはお前しかいないな」
カイン、と言う言葉にピクリと反応を示した。
「…しかし、カイン抹殺命令を出したのだが、お前には利かなかったな。余程アイツを気に入っているのか?」
「……」
「あやつは私の配下だった。こちらの内部に詳しすぎる。今抹殺しておかないと今後の活動に邪魔になるかもしれぬな」
エミルは視線を落とし、瞼を伏せた。それをゴルベーザが薄く笑みを口元に作りながら見ている。
「まあ、良い。他に手を打ってある。それにお前は何故かバロン国の民よりも洗脳が効きにくい。実に興味があるな」
ゴルベーザは塔の最上階にある玉座に腰掛けていたが、エミルの全身を暫く眺めた後に、やがて立ち上がる。漆黒の鎧が石の床に擦れ金属音が鳴った。
歩く度にコツンコツンと石畳を叩く鋭い音が部屋全体に響き渡る。そしてエミルの前に立つと、掌をエミルの頬にあてた。
「…ほう…」
ゴルベーザの口元から嘆息が漏れる。
背の中まで伸びた細い金髪に、戦士とは思えない程の肌の白さ。だがバロンで鍛えた身体は無駄のない筋肉をつけている。
切れ長の瞳は薄蒼く、睫は長く女の艶を秘めていた。手を当てた頬はほんのりと自然な赤みを帯び、可憐な少女から大人になりたての若さが溢れていた。
「お前の出身地は確かあの村だったな。貧しいが故、領地国のバロンへと出稼ぎに来る者が多いが、どの者も女さえも実にさもしい顔をしている。しかしカインに余程愛されていたのか」
そしてゴルベーザは自身の鎧兜を脱ぐと、その下から豊かな銀髪が溢れ、薄いローブの下には浅黒い筋肉質な身体が現れる。
「…セシル…」
エミルの口から小さく呟かれた。
「お前は美しいな」
彼女の後頭部に手を当て引き寄せると、自然に朱に色付き艶のある唇を奪う。
「……んっ」
エミルの小さく漏れる吐息さえも強引に塞ぐ。
その力強さにエミルは息苦しくなり、ゴルベーザの胸を強く押した。
「だがお前がどんなに奴を愛していても、所詮貴族と村出身のお前が結ばれる事はないぞ。それでも愛し続けるのか?」
唇を外し、荒く息を付くエミルの体を引き寄せ強く抱いた。
「人間はつまらぬ意地を持ち、他人を差別する。地位やら生まれた国で自分が優位に立とうと順位をつけたがる。例え自分よりも優れた者だろうと蹴落とす為に蔑む。実にくだらない生き物だ」
エミルの耳元で告げられる言葉は強く、自分の意思を明確にしている。正と悪、ひとつ間違っただけで進む道は真逆になる。もしゴルベーザが正義の下、世の中を作り替えるとしたら、セシルもまた違った運命になっていたのではないだろうか。
「私はそんな腐った世の中を変えるためにクリスタルを全て集め、世界を、いや青き星を作り替える」
「……」
エミルの瞳に小さな光が灯る。
「幻獣や魔物、実力さえあれば上に昇れる、差別など無い世の中を作ってやる」
ゴルベーザの願いは何処からもたらされたものだろうか。
それは生まれ落ちた時からなのだろうか、それとも別の意志がゴルベーザを動かしているのだろうか。
エミルは遮断された意思の中、ぼやけた思いを手繰り寄せ、巡らすが何も理解できなかった。
ただ目の前の男を見詰めるしかできずに、息を整えると頭を擡げ、その頬に長い金髪が流れ落ちた。
ゴルベーザがその姿を目を細め眺めている。
「…そんな情はいらぬ。お前は私の下にいて動けばいい」
再びゴルベーザはエミルに口付けを施すと、その細い身体を纏う、戦闘で薄汚れた服を引きちぎるように脱がした。


「くっ…!」
体がよろけ、手の届く位置にある大岩に寄りかかり、大きく息を吐いた。
腰に縛った布から鮮血が滴り落ちる。ゴルベーザに刺された箇所は致命傷ではなかったが、出血が酷い。
「…っつ…」
次第に意識が霞み、何度も頭を振って保とうと努力をするが、失血の影響で睡魔が襲ってくる。
「エミル、待ってろ…」
フラリと覚束ない足取りで槍を支えに進む。するとぼんやりとした視界の先で動く影があった。
「…!」
人の気配に緊張感が走り、朦朧とした意識がハッキリとしてくる。左手で握っていた槍を構え、その方角に向けながら大きく息を吸った。
「カイン!」
「セシル、か」
「ここにいたか!探したよ」
声に反応をし、友の姿を確認すると矛先を下げ、深い溜め息をつき安堵した。
「大丈夫か!?今止血を」
膝を折り、ガクリと肩を落としているカインに向かって白魔導のスペルを唱え始めると、カインが腕を払いのけ制した。
「…構うな」
「何故だ?」
セシルが驚いた表情を返した。
「これは俺の判断ミスだ。この命と引き換えてでもクリスタルを奪い返す」
「違う。お前のせいじゃない」
「何が違うんだ?俺は闇のクリスタルを敵に渡し、エミルさえも奪われた」
カインは悔しそうに大岩を拳で叩き付けると、そのまま手を付き項垂れた。
「……」
セシルは黙ってカインを見ている。
「…ゴルベーザの洗脳は完全には解けてはいない。俺もいつかお前たちの命を奪うかもしれん」
「ああ…判っている」
意外なセシルの返答に、今度はカインが驚いた表情を見せた。
「……」
「お前の行動なんて判っている。未だ洗脳に苦しんでいるのにも気が付いたよ。それに敵陣に乗り込んで命と引き換えに彼女を助けようとしている事も…」
カインは黙った。
「しかし、そんな無茶な事をしてもエミルは喜ばない。それに…」
白魔導の力の余韻が残り、僅かに聖に輝く手を握り締める。
「僕達はバロンの軍人として訓練を受けてきた。例えゴルベーザにやられたとしても…」
「……」
「エミルは後悔しない。彼女も軍人だ」
セシルの言葉は嘗てカインが志としてきたものだった。決して揺るがない心。
今更ながら、セシルの精神の高さに敬服する。
「だとしても…俺は、犯した罪の責任を取る」
カインの目線は握り締めた槍の矛先に留めたまま、掠れた声で言う。
「早まるな。エミルは…お前を責めたりはしない。それにカインを守る為に自分を犠牲にする子だ」
もしカインが自分を助ける為に一人ゴルベーザに闘いを挑むと知ったら。先の闘いで力の差を見せ付けられたエミルはカインを思い、自ら命を絶つかもしれない。
「…くそっ!」
足元に広がる小岩に向かって、握り締めていた槍を大きく振り上げ突き刺す。
その表情は、悔しさと後悔に滲んでいた。
「カインだって、判っているだろう?あの子はそういう子だって」
セシルの目線はその突き刺された岩場に向き、何かを睨み付けていた。
学生の時の強気な彼女の性格を知っていたからこそ、余計に悔しかった。
昨晩の彼女の様子に疑問を抱いたまま、手助けできなかった自分を悔やむ。
今頃酷い目にあっていないだろうか、祈るように眼を閉じた。
「…とにかく、ジオット王に報告するんだ。何か手掛かりを探そう。お前ひとりでどうにかなる問題ではないんだ」
「……ああ」
荒々しい気を放っていたカインが次第に落ち着いていくのを見計らうと、ふう、とセシルは安堵の溜息を吐いた。
「…しかし、お前がそんなに慌てるなんて初めて見たよ」
「茶化すな」
「そんなんじゃないよ。嬉しいんだ」
肩をすくめ、セシルは屈託のない笑顔を返す。
「?」
「お前にも一心不乱で命を賭けられる愛しい人がいるんだ、ってね」
セシルにはカインが何処か死に急いでいるように見えていた。
それは父親の死のせいなのか、成人した今はそう理解していた。
先の大戦でカインの父親は、ローザの父親と共に戦死した。その後を世襲制のように竜騎士団の隊長へと昇進した自分への負い目があるのだろうか。
決して奢りで隊長になった訳ではない。血のにじむような努力の賜物だとセシルは思っていたが、カイン自身は許せないものがあったのかもしれない。
「……」
黙り込むカインに、セシルはまた小さく溜息をつく。
「…ともかく、その傷を塞いでくれよ。出血多量で倒れられたら、僕が担いで城まで運ぶ羽目になるからね」
「……すまない」
セシルはケアルで傷を塞いだ後、ふらつくカインの肩を担ぎ上げ、その場を後にした。


広い塔の最上階に位置する王の間に、朱に染まった甘い声が響く。
「あ…っ…ん」
王のベッドに横たえられたエミルの裸体を、男の手が撫で回す。その動きに反応して、堪えきれない快楽が喘ぎ声となり唇から漏れていく。
「ん…」
普段は胸当てで隠れている豊かな胸を鷲掴まれたところで、身を捩らせた。
「以前も…お前はこうやって抵抗したな」
「い…や…っ」
強引に身体を弄り、中心にある淡い金の茂みの中に手をずらすと、喘ぐエミルの耳元でゴルベーザは告げる。
「全て忘れろ」
そして中に指を埋めると、次第にその入口が刺激され濡れていく。
長い銀髪がエミルの腹を掠め、その刺激さえも敏感に反応した。
「あ…ああ…んっ!」
快楽に抗いふと顔を横に向けると、台座の上に魔導に使用する鏡があった。そこに写った自分の姿をぼんやりと見ると、首筋に赤い印を見つける。
「こ…れは…」
それは昨晩、飛空艇の部屋でカインに刻まれた鬱血痕だった。

お前は俺のものだと、口付けをした彼の微笑む姿が瞼の裏に現れる。
「…カ…イン」
嬉しさで涙が溢れていく。
「何?」
ゴルベーザはエミルの涙に驚き、動きが止まる。

『お前は俺の生きる道標だ。何処にも行くなよ…俺の側にいてくれ』

暗闇の中、抱き合いながら耳元で囁かれた言葉を忘れなかった。

「わたし…も」

貴方がいて、私は生きている。
貴方は私の標。

エミルの頬に涙が伝った。






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Re: タイトルなし

軍人、騎士良いですよね~(´▽`)
私は武士も好きなのですが、ブレない志が乙女心(笑)を擽られるんですよ。
トップに忠誠を誓うところとかですね。
ドン・キホーテは本ではなく、演劇で観たのですが、彼もまた騎士道に真っ直ぐに進んでいますね。(多少喜劇だったのですが)

男が女に…というよりも逆もありますからね。男は女に強い所を見せたい、女は男に可愛い所を見せたい、これは人間的に当たり前の行為だと思うんです。
セシルもいくら騎士とはいえ、ローザの事が気掛かりだったし、クラウドだって軍人でもやっぱりティファが気になっちゃう。
別に特別な事ではなく、これは当たり前だと受け止めてます(*^^*)
若さ故の特権ですよ。羨ましいっ!(笑)
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