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「◆風光る・沖田総司×セイ」
空も飛べるはず(長編)

空も飛べるはず・第十六話

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空も飛べるはず 第十六話



早朝霜が草木に降り、白い息を吐きながら踏み歩くとシャリシャリと音をたてる。

太平洋側は連日冬晴れとニュースの天気予報士が告げていた。
そのままテレビを消し、ラッシュより少し早い時間に電車に乗って高校に向かう。
緩やかな坂を登りながら自分が高校生の時はどうだっただろうか、と総司は考えた。やはり剣道に夢中で勉強も疎かだったかもしれない。
それでも都内の大学に入れたのは、剣の腕を認められ推薦で受かったからだ。

(…教師になろうと考えたのも歴史に携わりたかったからですしねぇ)

後にも先にも剣の道しかないんだなと、ぼんやりと考えて先に進む。
ガラリと剣道場の扉を開けると既に一人の男が冷たい板張りの上で座禅を組んでいた。
「あれ?斎藤さん、早いですねぇ」
「大学が暇になったからな」
総司はぽん、と手を叩いた。
「そっか、そう言えば定期試験の時期過ぎましたねぇ」
「そう言う沖田さんは大丈夫なのか?この所毎日のようにここの部活に顔を出しているみたいだが」
「あはは、大丈夫ですよ!多分」
多分、と言ったけど自信はなかった。
「剣道に夢中になるのも良いが留年しても知らんぞ」
「確かに。肝に銘じておきます」
斎藤の苦言に苦笑いを返しながら、いそいそと男子更衣室へと向かった。
「そういや、近藤さんが後日松本先生の道場に集まりたいと言っていたな」
この間買った冬の青いジャケットをハンガーにかけロッカーに仕舞うと、珍しく斎藤から声を掛けてくる。
「え、そうなんですか?何故にまた」
「何か考えがあるんだろうが、恐らく…」
「なんですか?」
斎藤は少し考え、
「いや、何でもない。考え過ぎだ」
それきり口を噤んだ。
「やっぱりカッコいいなぁ、斎藤さん」
「何故?!」
「言葉そのままですよ。松本先生の道場かぁ、楽しみですね」
総司はニコニコと笑顔を見せながら道着に着替える。
「その時は富永も誘われるだろうな」
「…と、富永さんが…」
表情が少し堅くなる。すると道場の脇の扉が少し開いた。
「斎藤先生」
その澄んだ声に二人は振り返ると、既に剣道着に着替えたセイがこちらをちらちらと覗いていた。
「何だ?富永」
「あの、職員室で近藤理事長が呼んでました。今度練習試合をしたいとかで…」
「判った、今行く」
先程総司に話した事だろうか、斎藤は心の中で考えると総司に目配せ、その場を後にした。
「うーん…」
総司は袴を履きながら穏やではない心の内を溜息と共に吐き出した。

斎藤は理事長に呼ばれた部屋へと歩く。背後ではセイが置いていかれない様にとスタスタと早歩きで着いてくる。
「富永」
ふと、立ち止まる。
「はい?」
セイもその場に立ち止まった。
「沖田さんと…」
「え?」
「いや、何でもない。気にするな」
「えー、そんな勿体ぶったら気になっちゃいますよ、兄上」
「……」
斎藤は驚いて目を見開きセイの瞳を覗いたが、それは一瞬だった。
また元の表情に戻る。
「斎藤先生?」
そのまま無言で振り返り、再び前を歩いていく。

―――また俺はお前の兄代わりになるのか。

斎藤もまた苦々しい想いを何処にぶつけたら良いのか判らなかった。


「忙しい所呼び出して悪かったね」
職員室に辿り着くと近藤が出迎え、奥に続く理事長室へと促す。セイはそのまま日直の日誌を取りに担任の机へと向かった。
近藤の後に続き理事長室の中に入ると、重厚な作りの応接ソファーに土方が堂々と腰掛けコーヒーを啜っていた。
「よう、斎藤。久しぶりだな」
「土方さん…」
斎藤の目つきが鋭くなる。
「あそこで会った以来か?もう何年前だったか」
土方は微かに笑むと視線を逸らし天井に視線を移した。
「そうですね。もう随分と前だった気がします」
「お前も少しは東京に慣れたか?」
「ええ…」
斎藤は少し笑うと目線を奥の机に座る近藤に移す。
「理事長。お話とは?」
「まぁ、そこに座ってくれ斎藤君」
「はい…」
近藤はコーヒーを淹れカップを斎藤に渡した。
「先日話した事だが、昨日松本先生に会ってね、松本道場でやる模範試合の日程を詰めてきたよ」


「沖田先生」
「はいっ!?」
ぼうっとしながら一人準備室にある部活所有の刀の手入れをしていたが、セイの声で慌てて振り返る。そこには真顔でじっとこちらを見ている彼女がいた。
「先程から呼んでたんですが…」
「す…スミマセン、刀の手入れに夢中になってました」
眩耀を放つ刃を一通り眺めて鞘に収める。その仕草にセイは魅入っていた。
「慣れてますね。沖田先生は真剣をよくお使いになるんですか?」
「いえ、そんな事はありませんよ。幕末じゃあるまいし…まぁ、昔取った杵柄でやってただけです」
「幕末…そうですよね」
いつの間にか総司の横に並ぶようにしてセイが正座をしている。
(……!)
刀を一心に見つめるその幼さを残した横顔にドキリとしてしまう。
「先生?」
「あ、いえ!幼い時から剣道をやってて早くから刀に触れる機会があったんですよ。古武道も少々やってたんです」
「古武道!凄いですね!」
まさか過去に刀で人を斬ってました、なんて言えない。
「ああ、そうそう。今度富永さんも真剣に触れる機会があるかもしれませんね」
「え?どうしてですか?」
「勘ですよ」
例によって根拠はないのだが。
(理由は後から着いてくる、は斎藤さんの受け売りですけどね)
「そう言えば富永さんは斎藤さんと何処でお知り合いになったんですか?」
手入れの道具を片付けながら、何気に気になっていた疑問を聞いてみる。
「ええっと、斎藤先生とは兄の友人で…あっ、その兄も剣道をやっているんで一緒に私も習っていたんです。それで時折斎藤先生のご教授も頂きました」
「お兄様は何処にご在住で?」
「両親と一緒に京都に居ます。本当は兄も一緒に東京に来る予定だったんですけど、何でも彼女にフラれたからって急遽別の道に進むことになって…」
「フラて…」
どんだけ派手に振られたのか…と、総司は想像力を働かせて考えてみたが、所詮無理だった。
「父の知り合いの松本先生の御好意で私だけ上京してきたんです。でもそのすぐ後に斎藤先生も剣道の為に上京されて、松本先生の元で道場の師範もされるようになったんですよ」
「そうだったんですか」
(剣道の為だけではないでしょうねぇ…)
胸の内で総司は思ったが、口には出さなかった。
斎藤もまたセイへの気持ちを持ったまま転生をしてきたのだ。

『武士の恋は忍ぶが至極』

もう斎藤も総司も武士ではない。

セイが一人の女の子として生きていくのなら、自分も一人の男として守ってあげたかった。
それはきっと斎藤も同じ気持ちだろう。

「流石斎藤さんですね。私とは心意気が違う」
総司は微笑み、目線をセイに移す。だがその言葉に目を大きく開き、総司の顔を見ていた。
「そんな事ないです…沖田先生は…ずっと…」
セイの瞳が少し悲しそうだった。
「……」
朝の静けさに二人だけの世界になった気がする。
そのままセイを連れ出して閉じ込めてしまいたい衝動に駆られ、
「……かみ…や…さ」
つい、昔のセイと重ねてしまう。
  
ずっと、ずっと、探していました。
あなたの事。

自然と手が伸びてセイの頬に触れる。
「せ、せんせ…」
一瞬ビクッとセイの身体が縮こまったが、すぐに顔を上げ大きな瞳が総司を見つめる。
(暖かくて柔らかい…)
もっともっと触れたくなる。

「沖田さん」
「!!」
準備室の扉が突然開き、そこには斎藤が立っていた。慌てて総司は手を引っ込める。
「斎藤さん。近藤先生とのお話しは終わりました?」
「ああ、さっき話した通りだ。日程が決まった」
斎藤の目には頬を赤らめた総司と顔を逸らしたセイが写る。
「そうですか!楽しみですねぇ」
この男は…!と、苛立つ気持ちを抑え、表情をなるべく冷静に保つ。
今も昔も自分自身を冷静に達観できる自信があった。この二人の行動に何を今更慌てる必要があるのだろうか。
「…後でその事について話したい。指導が終わったら顔を貸せ」
しかし語尾が喧嘩腰に聞こえたのは自分の気のせいか。
「私…今日は日直なので行きますね」
セイは静かに立ち上がり、その場を離れる。
「富永さん」
総司の呼び止める声にセイは扉の前で立ち止まった。
「あなたも、斎藤さんのお話が終わったら私とお話しましょうね」
「…はい」
今振り向いたら、きっと総司は笑顔で自分を見ている。
(顔が熱い…)
そうしたら、きっとこの気持ちがバレてしまう。

(沖田先生に触れられたところが熱い…)

だから振り返らずにその場を後にした。


「随分と…」
「どうしました、斎藤さん?」
手入れが終わった刀を鍵の掛かった棚に仕舞おうと立ち上がると、斎藤の手がその柄を掴む。
「??」
「貸せ」
総司はそのまま斎藤に刀を渡すと柄を握り直し、スラリと鞘から刀身を抜いた。
「…あの頃に比べたら随分と日本刀の質も変わったな」
身体の重心を落とし、両手で構えを作ると刃先が陽に当たりキラリと輝く。
「それはそうですよ。だって刀で人を斬る必要がありませんからね」
総司は床に置いてあった手入れの道具を拾っている。
「だが…」
「!!」
不意に殺気を感じ、総司は顔を上げると道具を放り出し後退った。
「斎藤さん?!」
「こんな玩具の刀でも辛うじて斬れそうだな」
切っ先が自分に向いている。
「…どう、したんですか」
斎藤から感じる殺気に驚き、次第に額に汗が滲んでくる。
「俺が実はアンタを憎み、過去から殺したかったと、言ったら?」
「まさか…」
「あの時はアンタが労咳に罹っていたから出来なかったが…」
「斎藤…さん」
ゴクリと喉を鳴らし、本気だと感じた総司は受け身の体勢を作る。
「古武道をやってたとか言ってたな」
「かじっただけですが…」
斎藤の殺気は伊達ではない。刀を向けたままジリジリと間合いを詰めてくる度に総司の身体も後に下がり間合いを保つ。
「神谷は渡さないと言っただろ」
「え…?」
「俺はアンタが死んだ後、神谷と一緒だった。そして死に目にもあった」
「そ、そんな…」
総司の目が驚きで見開かれる。
「知らないのはアンタだけだろうな。近藤組長も、そして最期まで共にいた土方副長もアンタには話す気はないだろう」
「……」
「神谷は最期まで武士だった。アンタと神谷が望んだ通り、潔い死を選んだんだ」
斎藤の目が遠くを見つめている。
「どんなに辛くてもアンタを忘れなかった」

胸が痛かった。

構えを解き視線を床に落とすと、次いで斎藤も刀を降ろし、鞘に収める。

神谷さんは何時―――?

本当は考えたくない、だけど知らなければいけない。

総司はその場にガックリと膝を落とした。
(約束、したのに…あなたは…)
「…刃を向けて悪かったな。だが今の俺の気持ちだ」
「…斎藤さん…」
(否、一番罪なのは……私だ)
暫く俯き、前髪に隠れて総司の表情が暗くなり判らない。斎藤は一瞥すると背を向けて準備室を出て行った。

シンと静まった部屋に総司は一人残る。

どうして人は最期まで愛した人といられないのだろう。
こんな気持ち、あなたに会うまで知らなかった。

誰でも死ぬ時は独りになる。
でも死ぬのは怖くなかった。
生涯の師と決めた近藤の為に何時でもこの命を差し出せた。

だけど、
初めてあの子の為に生きようと思った。

最期まで生きようと抗った。


様々な思いが巡り、肩を震わせる。
「……っ」
俯いたまま床にポタリと一つ、涙が落ちた。

「すみません、神谷さん…」

―――あなたを一人置いて先に行ってしまって。






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