FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←空も飛べるはず・第十八話 →空も飛べるはず・第二十一話
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 セシル×ローザ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン×ローザ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン夢小説
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 ジ・アフター
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 前世代の物語
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 セシルの物語
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX アーロン×ティーダ
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX コミック
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF カイン×ライトニング
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF クラウド×ティファ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DFF ティーダ×ユウナ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF ティーダ×セシル
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF6 短編小説
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF7 短編小説
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF9 短編小説
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆風光る・沖田総司×セイ
もくじ  3kaku_s_L.png ◆過去記事
  • 【空も飛べるはず・第十八話】へ
  • 【空も飛べるはず・第二十一話】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「◆風光る・沖田総司×セイ」
空も飛べるはず(長編)

空も飛べるはず・第十九話

 ←空も飛べるはず・第十八話 →空も飛べるはず・第二十一話
空も飛べるはず 第十九話



松本医院に戻り、扉を開けようと引き手を掴むと、斎藤が背後から声を掛けてきた。
「富永は思い出したのか?」
「…あれ、判りましたか?」
「アンタがアイツを神谷と呼ぶからな」
総司は苦笑いと共に肩を竦める。
「ああ、そうでしたね」
「思い出した、と言うより、覚えていたのが正解か?」
「斎藤さん…」
扉を引くと下車がカラカラと音を立て開き、二人は敷居を跨いで中に入る。すると、ふぅ、と総司の背後から溜め息が聞こえた。 
「全く、俺も騙されたな」
微笑した斎藤の呟きが共に混じる。
「そ、そんな事ないですよ。騙したとか、騙されたとか。神谷さんはそんな人じゃ…」
総司は振り返り斎藤の顔を見た。案の定その表情は険しい。
「嘘は嘘だろう?真実にはなり得ない」
「……」
「アンタも、真実を知る必要があるだろう」

―――真実、とは?

「……」
総司は答えずに黙り込む。
「また今までの様に生温い関係を続けるつもりか?もうアンタが生きていた頃の新選組は瓦解したんだ」
「…甲陽鎮撫隊参加の際に近藤先生から聞きました」
セイと共に参加した最後の闘い。それまで病に伏せていたが、近藤を助け武士として戦場で死にたいと願った。
「……」
斎藤は靴を脱ぎ、廊下を歩く。
「…斎藤さんには落伍の時にお世話になりました」
「ああ、そうだったな」
視線を天井に向け、記憶を辿るとあの苦々しい闘いが蘇り、喉の奥が苦く感じる。
―――神谷さんと共に参加します。
そう、総司の口から聞かされた時は生きた心地がしなかった。
女子としての幸せを神谷にさせてあげなかったのかと責めもした。
自分なら、と何度も問うた。

無論、答えは判っていたが。

それにあの闘いは誰もが死に場所を求めていたのかもしれない。

「アイツも俺も土方さんも戦地を彷徨い、地獄を見たんだ」
「…ええ」
「それでも最期までアンタの誠を守っていたよ」
「……」
総司が八王子目前で倒れ、その後はどうなったのかは判らない。
セイと共に療養の為に府中の邸に預けた後、斎藤は再び土方と合流したからだ。
ただ再びセイが戦場に戻った時には総司の大刀を脇に挿していた。

「神谷の死に際を、アイツの口から直接聞いてみるがいい」
「……」
斎藤は総司の前にズカズカと大股に進むと、そのまま道場へと去っていった。
こうなる事は判っていた。
果たしてそれがセイや総司にとって良かったのか、斎藤自身も判らない。
高校の理事長室で近藤に練習試合の日程を告げられた時、心の中でざわめくものがあった。
セイが転生をし、穏やかに生きていけるのなら、あの惨劇を思い出さずにいて欲しかった。
(…参ったものだ)
元来の勘の良さに度々命を助けられたものだが、時には困る能力だな、と斎藤はうっすらと笑みを零した。


「お話終わりましたか?」
「ええ」
いつの間にかセイが二階の階段からひょっこり顔を出し、そのままとんとんと音を立てながら降りてくる。
「富永さんは…」
前に並んだセイを見詰めると、彼女はニコリと笑顔を返した。
「沖田先生」
「はい?」
「神谷…で良いですよ。いつも呼びにくそうだから」
少し頬を赤らめ、目の前を道場に向かって歩いていく。
「判りました。神谷さん」
「はい」
「さあ、近藤先生のところに行きましょう。待ちくたびれていますよ」
総司はセイの後を付いて歩き、自分に言い聞かせる様に目を閉じた。


「おう、大丈夫か?総司」
ガラリと道場の扉を開けると皆が一斉に振り向き、誰もが心配そうな面持ちを見せていた。
「大丈夫?神谷」
セイの側に藤堂が寄ってくる。
「はい!沖田先生とお話して、すっかり元気になりました」
「そうか、それなら良かった」
ニコリと藤堂に笑みを返し、次に土方の側に進むと深々と頭を下げた。
「大事な試合前に乱してすみませんでした!副長!」
「な…なんで俺に言うんだ」
案外素直なセイに動揺した土方は、一瞬体を怯ませた。
「富永さん…君は」
近藤はセイの言葉に驚き、掠れた声をあげる。
「遅くなってすみません!神谷清三郎、只今戻りました!」
「か、神谷君!!」
途端に近藤の両の目に涙が溢れ、大きな腕を広げるとセイを力一杯抱き締めた。
「こ、近藤先生…痛いです」
「ああ、スマンスマン、つい前の様に…そうか、私達の事を思い出してくれたのか」
腕の力を緩め、片手でセイの頭を愛しそうに何度も撫でる。
「大事な局長を忘れてるなんて…本当申し訳ありません」
近藤の温かさを再び感じ、セイは胸が詰まる。
あの時も―――千駄ヶ谷で総司を見舞いに来た近藤も同じ様にセイを力一杯抱き締めた。
『総司を頼む』
もう後が無いと判っていた闘いを前に、二度とこの温かさを失いたくない、とセイが決意した日だった。
(近藤局長、今まで黙っててすみません…)
セイは心の中で詫びた。
「でも、良かったじゃん。神谷」
「藤堂先生…」
藤堂は近藤達の側にゆっくりと近付き、嬉しそうに笑む。
「俺もさ、新選組を思い出す前はイライラした日々だったよ。でも山南さんのお陰でスッキリしたけどね」
そして壁側で何やら手帳に書き込んでいる山南に顔を向けると、藤堂の視線に気がついたのか、手を止め顔を上げる。そしてニコリと笑みながら手を軽く挙げ応えた。

藤堂もまた記憶がハッキリするまで悶々とした日々を送っていた。
歳を重ねる毎にあの殺伐とした風景が断片的に脳裏に現れ、自分は一体何者なのかと恐ろしくなった。
そんな時に大学の臨時で講師に来た山南に偶然に廊下ですれ違う。
『―――山南さん!!』
無意識に出てきた言葉に藤堂自身も驚く。
しかし振り向いた山南は全てを知っていたかのように笑っていた。

「神谷は勿論、総司だよな?」
「え、ええ。そうですね」
答えに戸惑うセイに、原田が楽しげにステップを踏みながら近付いてきた。
「で、で?神谷は今彼氏いるのか?」
「…何故そんな話になるのですか…」
セイの表情がサッと変化し、原田を睨み付けた。
「だってさ、俺と約束したじゃん!屯所に入った時に一発ヤラせろ…」
「そんな話してません!!」
しかしセイに迫る原田の背後に突如冷気が走り、ゾクリと身を震わした。
「!!?」
「ああ、そうでしたねぇ。原田さん言っていたのを思い出しましたよ。衆道に興味あるって」
「そ、総司…」
いつの間にか原田の背後に総司が立っていた。
「私とどうですか?ねぇ」
ニコニコと満面の笑みを見せながら更にジリジリと原田に近寄ると、両腕を伸ばし首に絡めギュッと抱きついた。
「ぎゃぁ!やらねぇよ!!ヤローはお断りだぁ!」
原田の悲痛な叫びが道場に響くだけだった。

「……」
「あれ、どうしたんです?土方さん。浮かない顔して」
総司は土方の様子に気が付き、青ざめた原田を開放すると、傍に寄った。
「いや…別に」
土方は総司から視線を逸らすと、藤堂と話しているセイに向けた。
「……」
その物憂いな眼差しに総司は複雑な気持ちになる。
(土方さん?)
こんな土方の表情を何処かで見た気がした。
「何でもねぇよ、それよりテメェのその顔は何だ?」
無言になった総司に気が付き、急いて視線を戻すと話を変える。土方もまた勘が良かった。
「ええっ?!顔に何か書いてありますか?」
「ニヤけてんじゃねぇよ。さっさと言え」
「はいはい。なら話しますね。神谷さん、此方へ」
「はい」
呼ばれたセイは藤堂に目配せ、総司の側に向かった。
「これから私と立ち合って貰います。中央に来なさい」
「はい」
セイが道場の中へと進むと、総司は道場の奥の部屋から大刀を持ち出し、小柄を抜くとセイに渡す。
「これを持って。良いですか?ここは朱雀野の森と思いなさい」
「…はい!」
セイの返事と同時に総司は左手に持った大刀を鞘からスラリと抜き、ゆっくりと構える。
「!」
「私は刀で……さぁ、来なさい!あなたの神谷流を私に見せて下さい」
「はい!!」
手に馴染んだ小柄を強く握り締め、セイはそっと目を閉じた。

京の森で二人だけの特訓。あの時吹いた風がセイの体を纏わりつく感覚。
(…忘れてない)
目の前には、セイの反応を心待ちに微笑んでいる総司がいる。
『敵が急襲してきたら、貴女はどう動きますか?』
『小柄を落としたら、どう立ち向かいますか』
―――私の為に戦いを指導してくれる先生が見える。
(そうだ、私は私なりの戦いを…!)
「―――ハァァ!!」
素早く小柄を右手に構えると、総司に向かって走り出した。

「神谷流?」
「総司が…教えたのか」
「それなら太刀筋が天然理心流に似るのは至極当然だな」
近藤と土方は二人の動きを目で追い、山南は手帳を眺めながら頷いている。
(…里の言うとおりだな。神谷君は総司を忘れていなかったよ)
もし、運命というものが二人をまた近付けたのなら、自由に吹く風に添わせるように、たおやかな草原をいつまでも一緒にさせたいと、願った。

そして、草の中に咲く華やかな花を、穏やかな風が愛でるように―――

「はい、良く出来ました」
「有り難う御座いました」
セイは総司の背後に周り、喉元に小柄を突き付けると彼は満足げにニコリと笑い返す。
それを見るとセイの手が緩み、向かい合わせに立つと頭を下げ、そのまま小柄を総司に渡した。
「神谷さん、また上達しましたね」
ニコリと総司は微笑み頭を撫でる。しかしセイは総司に手加減されたのが悔しいのか、少しムッとした表情をしたが、激しい総司の動きに着いていくのがやっとで、息が切れ肩を上下させている。
「山南さん、これが神谷さんの天然理心流のカラクリですよ。私と一緒に鍛錬を積みましたからね。太刀筋が似てしまうのは当然です」
「成る程、良く判ったよ総司。女子ならではの闘い方だな。私達とはまた違った素早い動きがある」
山南は何を思ったのか目線を手帳に落とし、サラサラとペンを走らせている。
「新選組の隊士記録に残していれば、今頃流派として免許皆伝も有り得たかもな」
「そうかもしれませんね」
「全く惜しいな。だが、神谷君の存在は後世に残せるかもしれないな。証拠が出て来れば、の話だが」
そして目線をセイに向けた。
「あ…」
「どうした?神谷君」
セイの顔色が変わった。
「あの…いえ、何でもありません」
「……」
横に立っていた総司はそれを見逃さない。
「総司はどうなんだ?神谷君の新選組参加記録を世間に公表しても良いのか」
「ええ、私は構いませんよ」
両腕を頭の後ろに組み、明るく笑うとクルリと体を捻り、腰に帯した大刀を片付ける為に奥の部屋に向かって行った。

「よし、取り敢えずこの話は研究室に戻ってから詰めよう。今は試合を楽しもうじゃないか」
パンと近藤は手を打ち、威勢良く声を挙げると、それに合わせるように皆が一斉に立ち上がり、思い思いに竹刀を振り始めた。

陽が暮れ、窓から眩しい西日が射してくる。

「神谷」
「ちょっとツラ貸せ」
「はい」
手合わせに疲れ壁際に凭れていたセイを土方が呼ぶと、徐に立ち上がる。

(土方さんが神谷さんを……?)
総司はその二人の行方を眼で追った。






二次小説ランキングへ

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 セシル×ローザ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン×ローザ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン夢小説
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 ジ・アフター
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 前世代の物語
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FF4 セシルの物語
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆FFX アーロン×ティーダ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DDFF カイン×ライトニング
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DDFF クラウド×ティファ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DFF ティーダ×ユウナ
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆DDFF ティーダ×セシル
総もくじ 3kaku_s_L.png ◆風光る・沖田総司×セイ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 セシル×ローザ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン×ローザ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 カイン夢小説
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 ジ・アフター
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 前世代の物語
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 セシルの物語
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF4 イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX アーロン×ティーダ
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX コミック
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FFX イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF カイン×ライトニング
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF クラウド×ティファ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DFF ティーダ×ユウナ
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆DDFF ティーダ×セシル
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF6 短編小説
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF7 短編小説
もくじ  3kaku_s_L.png ◆FF9 短編小説
総もくじ  3kaku_s_L.png ◆風光る・沖田総司×セイ
もくじ  3kaku_s_L.png ◆過去記事
  • 【空も飛べるはず・第十八話】へ
  • 【空も飛べるはず・第二十一話】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【空も飛べるはず・第十八話】へ
  • 【空も飛べるはず・第二十一話】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。