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「◆風光る・沖田総司×セイ」
空も飛べるはず(長編)

空も飛べるはず・第二十ニ話

 ←再開しました。 →空も飛べるはず・第二十三話
北の大地に立ち、セイは不意に空を見上げた。
誰かが耳元で囁いていると思ったからだ。
それは懐かしい、声。
何処までも広がる草原に穏やかな風が纏い、やがて全てを柔らかく包み込んだ。

―――あなたと共に風になりたかった。
強く、強く。
近藤という大凧を舞上げる程に。
力が欲しかった。
『沖田先生…』
呼んだら振り向いてくれますか?


今朝は小春日和と言わんばかりの暖かさだった。
ここは海に近い。
元来海特有の潮臭く生温い、纏わりつく感じが嫌で腕を何度か振り払った。
早くこの風が止めばいい。
斎藤はボンヤリとそんな事を頭の隅で考えていた。
それは目の前に起きたことが酷く現実離れしていたからだろうか。
『土方副長…』
『……』
土方の手には総司の命、お菊と呼ばれた山城守藤原国清が握られている。
その刃先から鮮血が滴り落ち、身体を横たえたセイの頬を真っ赤に染める。
口元で穏やかに笑みを作り、地に倒れ込むセイの手の中には、総司と女装したセイが仲睦まじく写った写真があった。
『斎藤』
『はい』
『なぁ、コイツは幸せだったと思うか?』
『神谷は…』
斎藤はセイから土方に視線を移す。震える唇を噛み締め血が滲んではいたが、泣いてはいなかった。
『……』
空を見上げると雲一つない澄んだ青空だった。
『武士として、幸せだったと思います』
『……そうか』
それから次第に口元が緩やかに解けた。
『それに』
『何だ?』
斎藤は遥か遠くを見つめる。
『風が…沖田さんが来たようですよ』
『総司か』
潮の匂いは消え失せ、蒼く暖かな風が二人の周りを纏い、袴姿から洋装姿に変えた土方の短髪をさらりと揺らす。
『悪りぃ、総司。お前の約束を守れなかったな。詫びならそっちに行った時に幾らでもしてやる』
懐に仕舞い込んだ懐紙を取り出し、血が染み滴り落ちる刃を拭うと鞘に収める。下げ緒まで返り血で真っ赤に染まっていた。
そのまま挿していた腰紐から鞘ごと引き抜くと、強く握り締めた。
『副長、自分を責めないでください。神谷は幸せでしたよ』
『……』
『最期まで沖田さんと共に生きて死んだのですから』
そうだったか、と自分を納得させる。
決して無駄死にではない、総司もセイも。そして板橋宿で死んだ近藤も。
やがてこれから闘い、死に逝く隊士達でさえ、全て無駄ではない。
『……この総司の刀と共に、と言いたいのか』
『ええ。それに、神谷は風になりたいと言っていました』

―――ああ、そうか。
あいつは風そのもの。

『近藤さん、総司、そっちに行くまで神谷を頼むぜ』

見上げると『誠』の旗が青嵐に吹かれ力強く靡いていた。


空も飛べるはず 第二十二話


早朝、剣道全国大会の会場となる体育館の前で、剣道部の部員達が集っていた。
その大勢の中でセイと総司が最後の打ち合わせをしている。
「神谷さん、気合い入ってますか?」
この年の最低気温と今朝のニュースで告げていた。剣道着の上にジャケットを羽織っているだけでは到底寒く、ふるふると身体を震わせながらセイは総司の側に立っていた。
「ええっ!気合充分です!沖田先生の顔を見て頑張れます」
歯をガタガタと震わせ、少々無理矢理な笑顔を見せる。
「あはは!それなら来た甲斐がありますね」
ぽん、と総司はセイの頭に軽く手を乗せた。
その手の暖かさに照れながら総司の目をじっと見つめ、
「有り難うございます」
総司に感謝の言葉を告げた。
「何を?改まって言われると胸がくすぐったいですよ」
「私が剣道でここまで来れたのは先生のお陰です」
「ええっ?何故?私が顧問をやる前から全国に決まってたじゃないですか」
くすくすと総司は笑う。
「いえ、剣道をやる切欠をくれたのは先生のお陰なんですよ」
「そうなんですか?」
「だって、剣道をやっていれば何時か先生に逢えると思ったんです」
「……えっ」
ドクン、と総司の心臓が波打ち、小さく声を上げてしまった。
徐々に頬が熱くなっていく。
「行って来ます」
元気良くセイは手を振り、会場の中へと入っていった。
「…まいったなぁ」
―――剣の道に生きれば、あなたに会える。
その思いは総司も同じだったからだ。

大会開始までまだ時間がある。
今まで指導してきた高校の部員達と軽く談笑し、それぞれの場所に移動する。総司は皆とも別れひとり会場の脇で座り込んでいた。
「ふぅ…」
「顔が真っ赤だろう?沖田さん」
影が総司の前に伸び、慌てて振り返ると何時の間にか背後に斎藤の姿があった。
「さ、さ、斎藤さん!いきなり背後に立たないでくださいよ」
「気がつかない方が悪い」
「全く、意地悪なんだから」
頬を赤らめながら斎藤に向かって苦笑いを返した。
「神谷は行ったか」
「ええ、意気込んで行きましたよ。残された者は試合を見守る事しか出来ませんねぇ」
「丁度良い。試合が始まるまで付き合え」
「…?良いですよ」

体育館の裏に回り、すっかり葉の落ちた銀杏並木を歩く。踏む度にサクサクと軽い音を立てた。
「冬晴れだな」
「ええ、大会の日に相応しいですね」
風が時折強く吹き、二人の間に踏んだ落ち葉が舞い散った。
斎藤は黒のジャケットを羽織り、首もとまでジッパーを上げ寒さを凌ぐ。
元々東京出身だが、暫く京都で過ごしてきた為にこの芯まで冷える都会の寒さにはどうも慣れなかった。
「神谷も大分腕を上げたな」
「斎藤さんがずっとご指導して下さったお陰ですよ」
逆に同じ東京で生まれ過ごしてきた総司は、軽いジャケットにマフラーだけの姿で両手をポケットに突っ込み歩いていた。
「祐馬の大切な妹を預かっているからな」
「そうですね。神谷さんには大切なお兄さんがいるんでしたね」
以前セイに兄が今でも京都で暮らしていると聞き、とても安堵した。
―――歴史は繰り返すのか。
総司の不安な心境を余所に、世の中は上手く回っているようだ。

二人は並木の中程で止まり向かい合わせに立った。
「そう言えば、昔祐馬さんと試合をした事があったんです」
遠くの記憶を思い出すかの様に目線を上げ、総司は楽しげに言った。
「それは初耳だな」
「神谷さんが『富永』と名乗った時に思い出しました」
「ああ…」
斎藤は地面の脇に寄せられた葉の山をを踏みしめると、一際大きな音が辺りに響いた。
「子供の時ですけどね。道場皆で京都に練習試合をした時にお世話になった方が、近所の子供達を招いて試合をしたんですよ」
「成る程。俺は途中から京都に移ったからな。その時はまだ居なかったかもしれん」
「ですよねぇ、もし斎藤さんが居たら一発で判りますもん。私真っ先に声掛けてますよ」
あはは、と総司は笑った。
「…で、祐馬との試合はどうだ?」
「そうだ!今思うと神谷さんに性格が似てますね。真っ直ぐで、曇りのない太刀筋でしたよ」
「成る程な…」
京の友人を思い出したのか、微かに斉藤が笑い声をあげた。
「試合には勝たせて貰いましたが、もし今も剣道を続けているのなら相当の使い手になるでしょう」
「…アイツは父親の医院を継ぐらしいがな」
「それはそれは!神谷さんももう安心ですね」
思えば彼女に出会ったのは、父と兄を討たれ、その仇討ちの為に壬生浪士組に来たからだ。

「不思議な縁ですねぇ」
空を見上げ、微笑みながらあの日を思い出す。
彼女が初めて壬生の浪士隊に現れた時は、初春の麗らかな陽射しの中だっただろうか。

幾年共に過ごし、何時の間にか彼女に淡い恋心を抱いていた。
武士として生きる為に不要と感じていたこの想いだったが、病に倒れ、闘いの中で生死を彷徨い、先が見えぬ闇に一筋の光となった。

総司を生きる希望に変えてくれたのは、全て彼女が与えてくれる愛だった。


「…神谷の葬儀の日もこんな晴れだった」
「え…っ」
斎藤の言葉に驚き、総司は振り向いた。
「旅立ちの日と言うべきか」
「…そうですか」
「会津に戻り、その後で俺は永倉さんや島田さんに会ったんだ。もう明治という時代が大分経った後か」
枯れ木の側に寄り、斎藤は届きそうな小枝をひとつ掴み手折ると、パキッと軽い音がした。
「永倉さん達にですか?何を話したんですか」
総司はその場に屈み込みながら斎藤の言葉を待つ。
「遺言だ。神谷の」
「神谷…さんのですか?」
「『自分が死んだら一切の存在を消してくれ』とな」
「え…」
「最期まで女子としての自分を晒したくなかったのか。俺には判らない。だが全てを消すのは無理だろうとは言った。何処かに痕跡は残る。いつか誰かが神谷の存在に気付くだろう、と」
「……」
「新選組としての功績より、アンタと生きた証だけで充分だったんだ、神谷は」
「…そうですか」
彼女らしいですね、と総司は困ったような笑いをして、そのまま地面に向かって顔を伏せた。
泣いているのか?と斎藤は少し視線を総司に留まらせたが、すぐに空を見上げた。
「…アンタのお菊は専称寺にあるだろう」
「な、何故それを?」
突然の斎藤の言葉に驚き立ち上がり、慌てて側に寄る。
「俺が預けたからだ。神谷の刀と共に」
「えええっ?!そんなの早く言ってくださいよ!」
「フン、誰が言うか。敵に塩を送る真似なんか御免だ」
「斎藤さん…意地悪ぅ…」
ぷうっと頬を膨らませて抗議するが、斎藤は背を向けて体育館に向かって歩き始めた。

「これは神谷の為だ。アンタの為じゃない」

小さく自分に言い聞かせるように呟いた言葉は、総司の耳に何時までも残っていた。


―――そうだ、俺はお前の為に…何でもしてやる。


目を閉じれば昨日の事のように思う。
北の風が吹き晒した小部屋に吹き込む、薄暗い曇りの日だった。
京を離れ、大分日が経っている。 身震いがする寒さに大分慣れたかと思っていたが、それでも時折乾いた風に吹かれると、身を刺されたかのように縮こませてしまう。
『これで良いのか?』
もう何度聞いただろうか、その度にセイは泣き出しそうな笑顔を返した。
『良いんです。私は存在しちゃいけない立場なので…』
文机の上に置いた半紙にさらさらと筆で文字を綴る。
その女らしい文字に斎藤はじっと見入っていた。
『はい、遺言出来ました。これを私が死んだ後も持って頂けたら幸いです』
『…承知した』
書き上げた半紙の墨が乾き、小さく畳むと斎藤にその場で手渡した。
斎藤はそのまま懐にしまう。
半紙はヒンヤリと冷たく、少し重く感じた。
『本当は沖田先生と一緒に居られたら良いんですけど、武士の死ぬところは戦場ですからね』
『神谷…』
『もしかしたら船で五稜郭に辿り着く前に死ぬかもしれません。そしたら山崎さんみたいに水葬でも良いかな、なんて』
『大丈夫だ、俺が沖田さんの所に連れて行ってやる』
セイと向かい合わせに座り、そっと彼女の頬に手をあてるとその上を暖かい涙が流れ落ちた。
『斎藤先生』
『だから簡単に死ぬと言うな』
潤んだ大きな瞳に似合う長い睫。キラキラと涙で輝き、その美しさにいつまでも斎藤は見つめていた。
『…すみません。あ、そしたら私と沖田先生の形見を一緒にしてくれませんか?何でも良いんです』
『ああ』
『お手数掛けます』
『構わない』
『最期は武士として、沖田先生に少しでも追いついて本懐を遂げる事ができれば、私は本望です』

女子としての幸せとは?…それはセイにとっては愚問だ。
―――神谷、俺と共に。
斎藤は喉まで出掛かった言葉を飲み込む。

『それにまた、来世に巡り会えたら…良いな、って』
『そうだな。来世というものがあるのなら、俺もまた皆に逢いたい』
『はい…私も斎藤先生に逢いたいです』

あの澄んだ青空の元で。

目を閉じれば壬生の屯所で皆が待っている風景が浮かぶ。
いつかまたこの場所で、巡り会いたい。

愛してる。

さよなら。

また、来世で。






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