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「◆FF4 カイン夢小説」
恋のかけら(長編)

FF4 恋のかけら 44

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Final Fantasy IV・Dream Novel
恋のかけら・44


熱を含んだ風が暴れ狂ったように吹き付ける。
目をまともに開けていられなくて、手で遮りながら敵の動向を探った。
「ほーっほほ!どうしたの?さっきまでの勢いは?」
「黙れ!」
すると風が勢いをつけ、尖りながらエミル目掛けて飛んできた。間一髪で手を地面に着き体を捻り避けると、剃刀の刃のような鋭い風がナイフのように壁に幾つも突き刺さる。
「…化け物が」
エミルは廊下を端まで走り抜き、バルバリシアの風の攻撃を避けながら、鍵が開いていた部屋へと転がるように逃げ込んだ。
偶然にもそこは武器倉庫だった。大量に積まれた木箱の中から適当なブロードソードを見つけ柄を握ると、体勢を整え攻撃へと転じた。
「ちぃ…!!」
大きく剣を揮い、バルバリシア目掛けて振り下ろすが、その身体は透けていく。
「幻覚か?卑怯者!」
「ほーっほっほっ!甘いわね」
バルバリシアはどこか戦いを楽しんでいるように見える。
それがエミルを余計に苛立たせていた。
「そうそう、逃げなさい。どこにいても見つけてあげるわ」
木箱が盾になり、多少なりともバルバリシアの風の刃を防いでいる。しかし、先程のバルバリシアの言葉が脳裏から離れない。
「こんなにも隙があるじゃない。そんなにカインとの関係が気になるのかしら?」
「……チッ!」
集中力を削がれ、エミルは舌打ちをしながらブロードソードを両手で握りしめた。
手に入れた柄の長いソードは両手持ち用に作られており、力任せに振り下ろしても攻撃に耐えられる強度を持っていた。
「もっと楽しませなさいよ」
バルバリシアがゆっくりとこちらに向かってくる。
「はあああっ!!」
エミルはバルバリシアの影を確認すると隠れていた木箱から走り寄り、頭上目掛けて剣を振り下ろした。
「なに?!」
剣を降り下ろした先にバルバリシアの姿がない。
素早く後に回られたと思い振り返るが、隙をつかれた。
「くっ…!」
バルバリシアはエミルの頭上に飛んでいた。攻撃を避けると背後に回り、エミルの金髪を束で掴む。
「…気に入らないわね」
「離せ!」
「カインと同じ色の髪…憎たらしい程美しいじゃないの」
バルバリシアの口元がニヤリと卑屈に歪んでいる。
「っ…!」
距離を離そうともがくが、バルバリシアはより一層強く髪を握りしめ引いた。
ギリッと頭が縛られ痛みが増す。顎が上がり、首筋が露わになった。喉元を斬られれば死ぬ。
「離…せ…」
このままでは背後からやられる、エミルは掴まれた髪を切ろうと刀を向ける。
「アイツと結ばれる?そんなの許さないわよ。お前はここで死ぬがいい…!」
しかし間に合わなかった。
手を翳し、部屋の中に突風が吹き荒れた。バルバリシアの体から発せられる風が、エミルを切り裂く。
ザクリ、と背後で嫌な音が耳元で響いた。
「…うわああ!!」
まともに攻撃を受け、全身かまいたちで切られたような傷が幾つもつき、そこから血が吹き出した。
白のローブがあっという間に朱に染まる。
「……っく…」
痛みに震えながら肩に触れると、短くなった髪が風で揺れていた。
「このまま放置すれば出血多量で死ぬかしら?人間なんて脆いものよ」
バルバリシアの手には斬ったエミルの髪が握られていた。そのまま体が透け、何処へと立ち去って行く。
「…待て…っバルバリシア…」
ポタリポタリと血が滴が垂れ、地面が血の水溜まりとなっていく。
次第に失血の影響で、意識が朦朧としてきた。
「カイ…ン」
エミルは膝を折り、ガクリと力尽きる。そのまま前のめりに地面に倒れ、動けなくなった。

(私はこのまま…死ぬのだろうか?)
身体の力を振り絞っても手足が動かない。

(ああ…最後に貴方に会いたかった)


バブイルの塔に潜入し、セシル達はルビカンテの配下、ルゲイエを倒した。
塔には対ドワーフ戦に備え巨大砲が配備されていると言う。セシルはそこを破壊する為に、砲兵達を倒し、遂に制御室まで進んだ。
セシルに倒されたゴブリンキャップの断末魔が響き渡る。
「クソーこうしてやる!」
「これで誰にも巨大砲は止められんぞ!」
砲兵は死ぬ間際に巨大砲の発射スイッチを押した。複雑にできた機械は唸りを上げながら起動する。
「しまった!」
「この音は何だ…ここも危ないぞ」
金属が軋む音を上げながら動く巨大砲に為すすべがなく、セシル達は立ち尽くしていた。
その中、一人冷静に巨大砲に向かう男がいた。
「ヤン!」
「何を!?」
ローザがヤンに向かって叫び呼び止めるが、既に彼の中で覚悟を決めていた。
「ここは私が引き受ける! 皆は早く脱出を!」
その表情は死を受け入れていたのか、穏やかだった。
「いやー!」
その場でうずくまったリディアがセシルに抱えられながらも叫び声をあげる。
「暴発するぞ、ヤン!」
「…御免!」
セシル達を力ずくで鉄扉の向こうへと押しやると、そのまま閉じて鍵を閉めた。
「ヤン!」
「妻に伝えてくれ……私の分も生きろと!」
「開けるんだヤン!」
カインが扉に体当たりして開けようとしたが、もはやビクともしなかった。
「ヤン!」
「お願い! 馬鹿なマネはしないで!」
ローザとリディアも何度も扉を叩くが、ヤンの意志は強く、応じない。
「ヤン!」
「楽しい旅であった!」
「開けろヤン!」
セシルの叫び声と同時に、扉の中で爆発音が響いた。
「うおおおー!」

「ヤン──!」

辺りが白く閃光が走り、視界が遮られる。
目を凝らし辺りを見ると、爆発の影響で崩れた瓦礫が降り積もり、目の前であの漆黒の甲冑を纏った男が立っていた。
「なかなか楽しませてくれる……」
「ゴルベーザ!」
セシル達に緊張感が走る。聖剣を握るとゴルベーザは皮肉な笑い声を上げた。
「鬼のいぬ間に命の洗濯か? 遊びはこれまで…そろそろお別れを言おう。さらばだ…!」
その瞬間、地面が大きく割れ、セシル達の体を揺らした。
崩れ行く塔に為すすべがなく、セシルは盾で降り注ぐ瓦礫や火の塊を避ける。
「頭上に注意しろ!ローザ、テレポを」
「セシル…!ゴルベーザに魔導を封じられているわ」
その中、カインは瓦礫を素早く避け、ゴルベーザに向かって行った。
「待て!ゴルベーザ!」
槍を突き刺すが、ゴルベーザには効かずに空を斬る。転がるように体を回転させ、地面に着地した。土埃が舞い上がる。
「クックッ、何用だカイン」
「エミルは無事なんだろうな!」
そのカインの表情を見て嘲笑っている。
「それを聞いてどうする?お前にはもう必要のない事だ」
「なに…」
「あの女は私のものだ」
「ふざけるな!!エミルを返せ!」
槍を再度ゴルベーザに向かって突きつけるが、ひらりと攻撃を避けると、その体は次第に透けていった。
「お前がそんなに慌てるとはな…面白いものを見せてもらった。さあ、お喋りは終わりだ。そのまま死ぬがいい」
「ゴルベーザ!!」
爆発音と共に、カイン達の頭上から崩れた塔の壁が大量に降り注いだ。






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